序章
第1話 嗚呼、懐かしきかな子供時代
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いつの間に抜いたんだ?反応できなかったぞ。さすが、廃スペック。
「って、あれ?」
ふと気づいたが、もう一人別の気配がするな。この体、筋力だけじゃなくて気配にも敏感だから隠れていても大体分かるんだよな。…なるほど。あの木の裏か。
「ちぃさん、ちょっと向こうまで行ってくるね」
「あぁ、うん。ここから出ないようにね?」
「ハーイ!」
とりあえず、巻き込まれないように言い争いの現場を迂回していき、木にたどり着く。
「こんなところで何してるんだ、フォース(・・・・)」
「なんだ、気づいてたんだね、サード(・・・)」
木の裏にいた先ほどの少女よりも薄い色の髪の少年…フォースに声をかける。と向こうもこちらの正体を当ててきた。
「それにしてもどうして僕のことがわかったんだい?」
「場所ってことなら気配の察知だが、正体に関してはアレをそんな観察するように見る早熟なガキはいない。それにあそこで口論してるのは口調と内容的に考えてファーストとセカンドだろ?そうなると消去法でお前になる」
「うん、すごいねサードは」
その素直な賞賛に誇っていいやら恥ずかしいやらで話題を変えることにする。
「その呼び方はよせ。今の俺は東堂朔也だ。こっちで呼べ」
「ああそうだね。ぼくは西島晴信。ハルでいいよ。サクヤ」
「で、ハルはなにしてたんだ?混ざりたいなら混ざればいいだろうに」
「別にそういうわけではないよ。というよりサクヤはもう分かってるんじゃないかな?」
質問に質問で返されたが、まあ俺も同じく観察に徹するつもりだったからな。
「おそらくセカンドと思われる奴がさっき口にした“なのは”という言葉、ありゃ、多分あの嬢ちゃんのことだろ?」
「そうだね。そして転生する前の彼の言葉にも“なのは”というワードがあった」
「この世界を知るセカンドが今必死になってるのを考えるとあの嬢ちゃんは十中八九、この世界における中心人物ってことになるな」
「この世界を知らない僕たちからしてみればこの世界を知る最も重要な情報のリソースになるね」
「そうなると、あの嬢ちゃんを中心に洗うのが得策ってところか?」
「そうだね。あ、それはそうとサクヤと一緒に来てたあの黒髪のおねーさん誰?」
ハルが突然話題を変えてちぃさんのほうを指す。ここから見えるのはポニーテールにしている俺とちぃさんの唯一の共通点である同じ黒髪くらいだ。
「俺の母親である東堂千春の妹の東堂千秋さん。通称ちぃさんだ。海外赴任中の両親のかわりに俺の面倒見てくれてる現役大学生」
「ふぅん、じゃあ挨拶してこようか?」
「そうするか、ってあれ?」
「あ!」
俺とハルが目の端に移ったものに意識が移る。
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