第七話「大陸の猛者」
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少し気味悪がった。
「……アンタ、明日とか暇?」
そんなとき、凰は何やら俺にそう聞いてくる。別に、明日の休日はRSの稽古以外はやることがない。だが……いったいどうしたんだ?
「空いてる……けど?」
俺も、彼女を疑うような目つきになって答えた。
「じゃあさ? 明日、アタシにつき合ってくれない?」
「はぁ……?」
突然の御誘いに、俺はあんぐりと口を開けた。
「IS学園周辺にあるメガロポリスのエリアを見てみたいのよね?」
「メガロポリスの……か?」
今更、どうしてあんなところを観光したがるのか。外国人が観光するといったらエリア29の広島県の宮島や、お隣のエリア30の山口県より錦帯橋などといった名物のほうが面白いというのに、あんな危険と安全が混ざり合った治安も行き届かない首都エリアを見ても何の得にもならない。そもそも、中国も現在は日本と同じような治安状況のはずだ。いや、もっと酷いだろう?
「いいでしょ?」
「別に……構わんが、あんなところ行ったって面白くもないよ?」
「思い出の場所なのよ♪」
と、彼女は席を立つと俺にウインクを飛ばして去ってしまった。
「……」
――何なんだ?
無言のまま、そう心に呟いていた。あの不思議な印象ではなく、逆に怪しい印象に近かった。
しかし、怪しいと知っていても、彼女の思惑が掴みにくい。
「鎖火さん……?」
と、弥生が歩み寄って俺に耳打ちをする。
「……怪しいです。正体を悟られないよう会話には注意してくださいね? 私も、悟られぬよう同行いたしますので」
「あ、うん……」
弥生がついてくれるのなら安心だ。こちらも、あまり口を滑らさないよう気を付けないとな?
翌日、俺は適当な私服に着替えて正門前のところで凰を待ち続けた。かれこれ、10分も経過するのだが……果たして来るのか?
「やれやれ……」
本当なら、今日は弥生と共にRSの鍛錬をした後に昼寝でもしようかと計画していたのだが、突然現れた謎の転校生、凰によって今日の俺的有意義な休日は潰れてしまった……
――どうして、一夏を誘わなかったんだ?
箒にせよ、はじめは積極的に一夏へ近づいてくる。しかし、今回の凰という幼馴染は、性格上勝気っぽくて、箒以上に大胆な性質を思わせる風格をしている。それなのに、どうして今日は一夏ではなくて、全く顔も知らない他人の俺を誘ったりしたんだろう……?
「……」
「おーい!」
「ん?」
校内から正門へ息を切らして走ってくる一人の少女の姿がうつった。凰である。
「ごめん! ごめん! 待った?」
「いや、別にいいよ?」
「じゃ、行こう!」
上機嫌に凰は、俺の手を引っ張ると、モノレールの駅へ走りだした。
IS学園へ出入りするには、そのモノレールか或は船で行き来するしか方法はない。
「……」
「……
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