第八十七話
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ちらのことを狙っていたのか……?
「うーん……そうだ! 達磨さんが転んだ、しよっ!」
少しばかり考えている素振りを終えると、リーベが提案してきたのはやはり昔ながらのアナログな遊び。こちらがどんなルールだったかを思い出す前に、リーベは嬉々として袖口から死銃の証たる《黒星》を取り出した。
「ショウキくんたちのことだから、もう種も仕掛けも分かってるでしょ? うん、これ自体はただの拳銃だし、ショウキくんも殺せない」
先のステルベンの名前に偽死銃と同様に、簡単に《黒星》について白状する。やはりリーベには本物の《死銃》であるステルベンとは違い、《死銃》であることについてのこだわりは薄いらしい。しかし、ただの拳銃であると分かっているなら、今更何故《黒星》を出したのか――と考えていると、リーベはすぐさまこちらの疑問に応えた。
最悪の答えを。
「ショウキくんがこれに当たったら、代わりに『彼女』に死んでもらいます!」
――連続した発砲音。この場でその音を響き渡らせることが出来るのは、俺が持つAA−12のみであり――そのAA−12には、発射したことを示す薬莢が高速で大地に叩きつけられていく。
リーベが語る彼女とは誰のことか。この大会前にリーベが話しかけてきた時に、こちらに語った『リズベットって女の子のこと』――それらの事実から俺の指は勝手に引き金を引いた。俺は鬼であるリーベを触ることで――撃ち殺すことで勝利となる。ただし、鬼は俺が動いているところを見つければ――《黒星》を当てれば、無条件で鬼の勝利となる。
……まさしく『達磨さんが転んだ』だ。
「アハハハハッ! ようやく本気だよね、本気で殺す気だよねショウキくん! それじゃ――」
こちらからのAA−12による先制攻撃を、あっさりと全て避けてみせたリーベは、これまでにないほどの笑顔にて、嬉しそうに俺に問いかけてくる。……それを俺は無言で返すことで、試合――いや、彼女の言う『遊び』が始まった。
「――せいいっぱい遊ぼうねぇ!」
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