第八十七話
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迫し、手駒と化せられている偽物の死銃たち――まだ生き残っていたプレイヤーにいたのか。彼ら彼女らが偽物だろうと、その手には《黒星》が握られており、シノンは命を狙われている――リーベのハッタリであることも否定できないが、俺たちにそれを確かめる術はない……!
「……キリト、行け」
「ショウキ――」
それらに関して頭の中で思考を張り巡らせようとすると、結論をはじき出すより早く、その言葉が口から先に出る。キリトも何かを言おうと口を開くが、それより早くリーベにAA−12を構えた。
「囮なら、俺一人で充分だ」
キリトが迷ったのはほんの一瞬。素早くリーベから背を向けると、今来た道をかなりの速度で逆走していく。シノンも狙撃ポイントに向かっているため、元の場所にいることはないが……今は、とりあえず戻るしかない。
「――頼む!」
それだけ言い残すと、脇目もふらずに駆け抜けるキリトにシノンを任せ、俺はやはりリーベと対峙する。いつでも撃てるようにAA−12を向けているにもかかわらず、その踊り子は何ら動じることはなく自然体だった。
「うん、二人っきりだね、ショウキくん! みんなに協力してもらった甲斐があったよ!」
先もあった『みんな』という言葉。俺たちが偽死銃を指している言葉を、あの踊り子は『みんな』と呼んでいる。みんなに協力してもらった、ということは――つまり。
「ん。みんなに協力を頼んだのはウチ。ステルベンくんには悪趣味だーって言われたけど?」
「……よく俺の考えてることが分かったな」
もはや隠す気もないといったところか、あっさりと本物の《死銃》――ステルベンの名前を出す。続いて悪趣味になのはどっちだ……などと言いいながら、こちらに背中を向けて笑っていたが、俺の問いかけを聞くとピタリとその笑いを止めると、こちらに振り向いた。
「ショウキくんの考えてることなら何でも分かるよ? ずっと見てたもん、この大会中! ずっと、ずっと、ずーっとずっとずっとずっと――見てた」
そう言うや否や、また手品のようにどこかから手に物を取り出すと、もう用済みだとばかりにこちらに投げ捨てる。廃墟に投げ捨てられたのは双眼鏡……双眼鏡があったところで、見える距離と場所ではなかった筈だが――彼女からは、本気の気配が感じられた。
――そしてこれ以上、会話をする意味がないということも。
「……そろそろ始めよう」
「あ、そうだね! 今日は何して遊ぼっか? 鬼ごっこはこの前やったし……」
再びリーベの笑顔が戻ると、喜びで小さくステップを踏みながら、考え込むようにして首を傾げていく。……最初に会ってこのAA−12を買いに行ったあの日、確かにリーベに『鬼ごっこ』に誘われた。……あの時の接触から、もうこ
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