第八十七話
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だと思ったらしい。
「あんたはいいの? 囮」
「慣れてる。……っていうのもそうだが、ただで撃たれる気はないからさ」
こちらに振ってくるシノンに対しても、俺からの返答はキリトと何も変わらない。ただで撃たれるつもりはない――その理由を、端末に表示されているある部分を指差すことで示す。俺たちがいる主街区エリアの一角、ステルベンがいる場所へ辿り着く前にぶつかるある一点――そこに何の警戒もなく存在している、一人のプレイヤーの名前。
「……決着はつけるさ」
――笑う踊り子、リーベの名前がそこにはある。
そして俺たちは狙撃地点を探すシノンと別れると、《死銃》の元へと向かう。戦い続けて随分数が心許なくなった弾倉の数をチェックしながら、廃墟となった街を駆けていく。今のところ狙撃される気配はない。
「弾、大丈夫か?」
「……まあ、保たせてみせる。俺も光剣にすれば良かったな」
このフルオートショットガンという特性上、多分保たないだろうな――と考えながら、横を走るキリトの弾切れの心配のない武装を羨ましげに見つめる。
「やめとけ。お前の趣味じゃないぞ」
「お前にもだろ」
だからといって、武器が合わなかったから負けても仕方ない、などと言っていいタイミングではなく。あのデスゲームに未だ囚われている《死銃》を止めるにはには、現実世界だけではなく――この仮想世界で打ち勝つ必要があるのだろう。
そうして走っていくと、正面の道路に人影が現れる。戦闘中だとか警戒中だとか、そんな俗事には彼女は捕らわれることはなく。初めて現れた時のように、彼女はどこまでも、どこまでも楽しげに踊り狂っていた。
「あ、ショウキくん! やっほー! それにキリトくんははじめまして!」
「……リーベ」
「キリトくんともずっと遊びたかったのに、俺の獲物だーってうるさい人がいてさ? ごめんね?」
あの踊り子は当然のように、キリトのことも知っているように話しかけてきた。もちろん参加者ならば知らないことはないだろうが、恐らくGGOに参加した光剣使いキリトのことではなく、あの《黒の剣士》キリトのことを。
「でもこんなところで遊んでていいのかな? ――今頃みんな、シノンちゃんのところに行ってるよ?」
「……何?」
不思議そうに首を傾げるリーベに対し、キリトは小さく疑問の声を発する。果たしてどの言葉に対する疑問だったのか――『シノンのところに行っている』か、『みんな』か、俺たちの作戦のことを何故知っているのか……いや、それら全部か。
「うん、みんな! 《死銃》くんの手伝いしてくれるみんながさ、シノンちゃんのところ遊びに行ってるよ、って」
「――――」
現実世界の情報を使って脅
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