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SAO−銀ノ月−
第八十七話
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って考えてたんだが……ショウキの話で確信に変わった」

 そこまで言うと、キリトは横目でシノンをチラリと見た後、言い苦しそうに語り出す。それは――

「《死銃》がプレイヤーを撃つと同時に、現実の人間を他の人間が殺害してるんだ」

 ――キリトが語ったその真相は、考えてみれば当たり前のことだった。ゲームの中から現実の人間を殺すことなどあり得ないならば、現実で現実の人間を殺すしかない――だが、俺たちは心の底で『現実で人間を殺すプレイヤー』の存在を消していた。

 ……そんな奴がいるとは、信じられなくて。

「それが本当なら……やっぱり、あの透明マントで住所を覗き見てたのね。まさかそんな奴がいるなんて……」

 俺とキリトは登録していなかったが、大半のプレイヤーはこのBoBに参加するにあたって、優勝商品の郵送などのために住所等を設定している。それを本物の《死銃》があの透明マントで盗み見て、偽死銃やターゲットの殺害に利用している。

「ならシノンの家にも――」

「――私は大丈夫。さっきコイツと仮説立てた時に、覚悟、したから」

 ならばこのスナイパーの家に今も、現実世界で暗躍する《死銃》の片割れがいるのではないか。そう質問しようとすると、先に覚悟していたというシノンに遮られたが……その声は心なしか、少し震えているようにも感じられた。

「…………」

 それも当然だ。命を狙われているだけではなく、自分の無防備な身体に見知らぬ誰かが近づいているというのだから。それでも彼女はここにいる――危ないから止めろ、というだけなら簡単だが、こうなれば共に協力した方がよほど早くて安全だ。

「だから俺たちはともかく、シノンと《死銃》を戦わせるわけにはいかない。やるなら狙撃で一発だ」

「望むところよ。私は元々そういう戦い方だしね」

 シノンに対してだけは《黒星》の脅威は健在だが、どんなに脅威的だろうが所詮は拳銃でしかない。先のスタジアムの戦いではその腕前を活かすことは出来なかったが、シノンの本来の射程圏ならば拳銃など撃たせる暇すら与えない。……もちろんその程度で終わるような相手ならば、こんなに苦戦することは無いわけだが。

「でも確か、《死銃》も狙撃銃を持ってたな」

 《死銃》の兵装は確認できる限りでは、死銃の証たる拳銃《黒星》に、発砲音を消す装備を付けた狙撃銃《L115A3》。一定時間相手を麻痺させ動きを止める電磁スタン弾に、キリトが切り裂いた透明化マント――といったところが、奴の普通のGGOにおける装備だろう。それに加えてキリトを圧倒するほどの剣技を持った、細身の剣《エストック》を隠し玉として持つ。……かつてのデスゲームで、俺はあの太刀筋を見た記憶があるのだが――

「……何? 私が狙撃で負けるとでも言い
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