第八十七話
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ながら、キリトは苦々しげに語る。あのエストックこそが《死銃》の隠し玉――それに奴にはまだ、あの《黒星》も残っている。とりあえず仕切り直すべく一時撤退を選んだものの、これからどうするか――といったところで、チケットの販売所だったらしい開けた場所に出る。
「この通路、直接出口に繋がってる訳じゃないらしいわね……」
適正距離ではないヘカートを持ちやすいようにしながら、販売所にある案内板を見てシノンが呟く。この場所から行けるのは先の観客席とまた他の観客席であり、出口に行くためにはまた、他の箇所を経由しなければいけないらしい。なら手早く移動しようと、他の箇所に行こうとした時――
「…………っ!?」
爆音。先のバギーの爆発や手榴弾など比べ物にならないほどの爆発音と振動が、スタジアム中に連続して響き渡っていく。それらはまるで地震のように俺たちに襲いかかり、爆音はさらに鳴り響いていく。こちらを狙っている訳ではないようだが、その連続する爆音は俺に一つの考えを去来させた。
「まさか……このスタジアムごと生き埋めにするつもりか……!?」
廃棄するビルを爆弾で倒壊させるかのように。その建物の支柱を爆弾で破壊することにより、建物を自重で耐えられなくさせ倒壊させる。このスタジアムにも、今……同じことが起きているのではないか。そう呟くとキリトにシノンも同じ発想に至ったらしく、再び出口の場所を確認するも――
「遠い……」
出口は遠い。爆弾と倒壊の危険もあるため、下手に動くとスタジアムの前に自分たちがやられる。ただし、ここで留まっているわけにもいかず――キリトはそんな状況の中、ダメージを負った肩ながらも光剣を展開させた。
「どうする気?」
「出口を作る!」
キリトは言うや否や壁に向かって光剣を向けると、爆発で脆くなったスタジアムの壁を一閃する。エネルギーで作られた刃の為に刃こぼれの心配などはなく、また途中で折れることなどもない。それらの特性により、キリトの光剣は壁を切り裂き新たな出口を作る。
「飛び降りろ!」
少し地面との距離があったが、そんなことを気にしている場合ではない。崩壊の進むスタジアムから都市部に身を投げると、同時にスタジアムが完全に崩壊を始める。全ての支柱が爆発してしまったのか、今の壁を切り裂いたのがトドメだったのかは分からないが……ともかく、俺たちは崩壊とともに脱出に成功する。
「……っ!」
スタジアムの近くにある道路への着地に、軽微ながらも落下ダメージをくらいながら成功すると同時に、俺はAA−12を空中に構えてすぐさま発射していく。崩壊までには間に合ったとはいえ、その破片は未だに俺たちへ襲いかかる。AA−12のフルオート射撃はそれらの破片をさらに粉々にしていき、俺たちの着地
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