7部分:第七章
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たんですか」
「うむ、その人面痩はそれの表われじゃ。人に自分の身体を見せたいと思うから出て来たのじゃ」
「はあ」
「何、心配することはない。それはすぐに消える」
「消えるんですか!?」
「ただしじゃ」
ここで住職さんは言った。
「わしは今言ったな。これは陽子さんの心の表われじゃと」
「はい」
「それじゃ。それのせいで出ておるから」
「見せたいと思う気持ちを抑えるんですね」
「そして実際に露出の多い服を着ないことじゃな。派手な服とか好きじゃろ」
「それはまあ」
それも認めた。
「いつもミニスカートとかタンクトップですから」
「よくないのう。それは止めた方がいいな」
「わかりました」
「何もシスターとかそんなふうに厳かになる必要はない。自然な格好でおればよい」
「それでいいんですか」
「露出さえ多くなければな。それでよいのじゃ」
「はあ」
「後は見せたいという気持ちじゃ」
「気持ち、ですか」
「うむ」
住職さんから飄々とした感じは消えていた。厳かな風格を漂わせていた。顔は同じだが雰囲気がまるで違う。別人と言っても差し支えない程であった。
「それを抑えるのじゃ」
「今までそれがあったから人面痩が出来たんでしょうか」
「その通り。まずは我慢しなされ」
「我慢」
「そうすればそれはなくなる。よいですかな」
「わかりました。それじゃあ」
「うむ、大変だと思うが我慢されよ」
「それで先生」
敦が彼に尋ねてきた。
「原因はわかりましたけど肝心の人面痩は」
「こいつじゃな」
陽子の腿の奥のそれを指差して言う。何か口をモゴモゴとさせている。
「はい、今すぐに何とかしたいんですけれど」
「心配無用じゃ」
だが住職さんはその心配を取り払った。落ち着いた声で述べる。
「今すぐになおしてしんぜよう」
「今すぐにですか?」
「そうじゃ。それがどうかしたのか」
「いえ、その」
敦は口籠る。そしてそのうえで述べた。
「今ここには手術台とかそんなのないですけど」
「手術!?」
「刃物で切るとかですよね。だったら」
「いらぬ心配じゃ、これには手術なぞは不要じゃ」
「いらないんですか」
「そうじゃ。これは普通の出来物ではないぞ」
彼は述べた。
「言うならば呪いとかそういった類じゃ。そんなものに手術が必要か?」
「そう言われると」
「そうじゃろう。まあ見ておれ」
住職さんはそっと陽子の太腿に手をかざした。それは一瞬のことであった。
「あっ」
人面痩はそれで消えた。一瞬のことであった。住職さんが手をかざしただけでそれは忽ちのうちに消えてしまったのであった。まるで煙の様に消えてしまった。
「こういうことじゃ」
住職さんは陽子から離れて答えた。
「こうしたものにはな
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