6部分:第六章
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て来た。
「おう、坊主か」
「住職さん、お久し振り」
敦がその老僧に挨拶をする。どうやら彼がその人面痩を何とかしてくれる人らしい。敦の挨拶からそれはわかった。
陽子も彼に続いて挨拶をする。すると住職さんは彼女に顔を向けてきた。
「ほう」
「どうかしたのかい?」
「坊主もやっとそんな歳になったのじゃな」
その細い目をさらに細めてこう言った。
「嫁さんをわしに紹介しに来たのじゃな。よいぞよいぞ」
「いや、嫁さんとは少し違うけど」
敦の方でそれを訂正した。
「今付き合ってるんだ」
「おおそうか、彼女か」
「そんなところ」
「よいぞよいぞ」
住職さんはそれを聞いて破顔大笑した。その好々爺の顔が大きく笑う。それを見て陽子はこの住職さんによい印象を受けたのであった。
「で、どうしたのじゃ?」
「ここでは話しにくいから」
敦は少し周りを気にして言った。
「お寺の中で。いいかい?」
「何か訳ありのようじゃな」
「お願いするよ。それでいいかな」
「わかった。では茶でも飲みながらな」
「うん」
三人はそのまま境内に入った。そしてそこで話をはじめた。話通りお茶を飲みながらの話し合いとなった。
「それでじゃ」
「うん」
住職さんはくつろいだ様子であったが二人は違っていた。戸惑っている様子がありありとわかるものであった。
「何用じゃ、一体」
「実はさ」
敦はそれを受けて話をはじめた。陽子の方をチラリと見てから言った。
「彼女のことなんだけれど」
「はじめまして」
陽子はここで住職さんに挨拶をした。ぺこりと頭を下げる。
「敦君の彼女で高岡陽子といいます」
「陽子さんじゃな」
「はい、実は私のことで」
「その顔から察しますとじゃ」
住職さんは陽子の表情から並々ならぬものを感じていた。
「貴女は。何かお悩みですな」
「はい、実は」
「彼女の脚にね」
敦も話した。
「人面痩が出来ているんだ」
「人面痩とな」
「御存知なんですか?」
「無論。何度も見たことがある」
住職さんは陽子の言葉に大きく頷いて答えた。
「では見せてくれぬか」
「いいんですね?」
「怖がることはないぞ。さあ」
「それじゃあ」
座っていた脚を崩して住職さんに見せる。形のよい脚が露わになっていた。それは付け根まで見えている。それを住職さんに見せていた。
「よい形の脚じゃな」
その脚を見た住職さんの最初の感想である。
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