第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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〜リーザス城?????〜
空間が歪み、捻れ、世界の色合いがおかしい場所に1人たっている者がいた。その表情は、険しく……そして顰めている。
「……パットン。このあたしにも何も言わずに、んな無茶な真似をして」
どこか、呆れもあるが、それよりも 若干悲しさも見える呟きと表情だった。
そう、彼女はヘルマン評議員の1人であり、今リーザス、自由都市へと侵攻しているパットン・ヘルマンの守り役にして、乳母でもあり、姉でもあり、時には恋人でもあり、そんな複雑な関係を持つ異色のカラー。
《ハンティ・カラー》である。
「こんな事なら、宝石をとっととパットンに渡しとけば良かったよ。位置情報を掴むだけで時間がかかってしまったからね……」
ハンティは、そのまま歩きだした。
向かう先は、リーザスの玉座の間。恐らくはそこにパットンがいるだろうと確信して。
そして、歩くこと数分。
「いた……」
玉座の間に座しているパットンを見つけ、ほっと一息を入れるハンティ。瞬間移動から、戻ったら一発ひっぱたいてやろうか?とも思ったが一先ずそれは無しにすることにした。
「……コイツは」
その無しにした最大の理由の1つが、パットンの背後に控えている異形の存在。その背丈は云うにパットンの二倍以上はあろうか、と思える巨体。ヘルマン人である、パットンも軽く凌ぐ程の大きさだ。そして、佇まいからも只者じゃない、と言うのが判る。
全ての時間が停止しているこの世界にいると言うのにだ。
そして、僅かながらに見えた素顔を見て、はっきりと判った。……この者が誰なのかを。
ハンティは、一瞬だけ驚愕するものの、直ぐに表情を引き締めた。そして元の次元へと戻っていく。世界は急速に元の姿に戻り、停止していた時間も動き出した。
その時、丁度 パットンは激高していた。何故なら レッドの町での敗戦を訊いたからだ。フレッチャーが敗れ、解放軍に落ちた。腸が熱を持って神経を逆なでしながら蠢く様子だった。
「ぬぐ……ぐぬぬぬぬぬ! 敗北を喫したリーザスの残党共が、何故この様な…… ぐぅっ」
不満を盛大にぶちまける様に、固めた拳を玉座に振り下ろした。その衝撃で肘掛を軋ませる。この場に残された警備兵達は皆萎縮してしまう。
「……ただ 待つ身と言うのは、腹が立つだけだ。こうなれば……」
何かを考え、行動を起こそうとした時だ。
「―――落ち着きなよ。パットン」
「―――っっ!!」
声が聞こえてきた。それは女のモノ。謁見の間には全員が男の兵士と魔人であるノスのみであるのにも関わらず、その声が聞こえてきたのだ。聞き覚えがある声、そして 突然聞こえるのも何時もの事だ。
「っ!!
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