第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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そんな中、副将であるハウレーンがこちらに来て、深く頭を下げた。その目には涙さえうっすらと浮かべている。メナドと再開した時の彼女の表情は、かなみにも負けない程のものだった。
「……約束、してたからな。それにまだまだ、これからだ」
ユーリは、少々照れくさかったらしく、そう一言だけ言うと、顔を背けていた。
「……はいっ!」
ハウレーンも力強く頷いた。
確かにレッドの町は解放でき、赤の軍の洗脳を解く事が出来たが、まだまだ先は長い。青の軍の解放もまだであり、最後のリーザスの解放という大きな仕事が残っているのだから。
そして、ユーリはその後もバレスにもリックにも礼を、と言われていて、本当に照れてしまっていた。そんな場面をカスタムのメンバーの前で見せなくて良かった、と思わずユーリは思ってしまっていた。
「町の復興処理は、マリアを筆頭にカスタムのメンバーがしてくれるそうだ。だから、将軍達は、次の町……、ジオの町の解放に向けての作戦を練れば良いと思うが、どうだろうか?」
「有難い限りです。町の損害も元をただせば、我らの不手際から生まれたもの……、その殆どを頼む事は心苦しいですが」
「……今は、一刻も早くヘルマン軍を殲滅する事が先決でしょう。それが、彼女らに対する敬意です」
「そうですね。ジオの町の兵力、そして司令官の能力と実績を考えても我々が負ける事は有り得ないと判断出来ますが、損害を極力抑えつつ、速やかに解放出来る様に策を練りましょう」
そして、その後ユーリを交えたメンバ―達が色々と議論を交わした。
町の地理的条件と敵の規模の再確認。そして、こちらの消耗度を加味した兵力を。
「……一先ず、この辺りですな」
「だな。今回の件は、カスタムの皆、清には勿論、……聞くかは判らんが、ランスにも一応耳に入れておきたい所だ」
「そうですね。本当は、今回の作戦でそれ程消耗していない我らだけで、下地をするだけでしたが、ユーリ殿やリック殿が戻られて、大変有意義な会議となりました。明日の配置関係、補給状況の確認・指示もスムーズに行えそうです」
「……まぁ、よくよく考えたら、レッドの町を解放してそんなに時間、経ってないからな。っと、流石にオレも疲れてたんだった」
ユーリは、そう言うと軽く腕を回していた。シィルや、ロゼの回復魔法やアイテムをもらっているが、流石に全快復、とまではいかないのだ。もう常人の域ではないユーリとは言え、人間なのだから。
「……ユーリ殿」
リックが、傍に来て、すっと頭を下げた。
「ん? どうした。先ほどの礼なら、も、良いぞ。……流石に何度も言われるのは……あれだし」
ユーリは苦笑いをしながらそう返した。だが、リックの言葉は違う。
「いえ、おぼろげですが、僕はユ
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