第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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訊いていた様ですし」
「……そんなの、どうだっていい。それで、そいつはどんなヤツなんだ。場所と一緒に詳しく教えろ」
「はい。もちろん」
サファイア、そしてレイラ。二度まで、手の者を退けたランス。……そして、何よりもあの妙な声の正体。 ……感じた印象を総合すれば、サテラでは荷が重いと思える。だが、それは、あの男と相まみえれば、の話だ。
「(……次は魔人。本物の魔人が相手です。いかがしますか……? ランス。……そして、アイツは姿を表す、でしょうか。……サテラにも確認が必要、ですね。……必要であれば、私も参戦すべきでしょう。……印象通りの戦力を秘めているとするのなら……やむを得ないでしょう)」
あの時の感覚がアイゼルにはまだ残っている。手に滴る汗の感触も。たった一瞬の出来事だと言うのに、強く印象に残っているのだ。
〜レッドの町〜
結局は、最大の驚異であった魔人アイゼルは逃げたものの、当初の目的であったレッドの町の解放は成す事が出来た事に皆は歓喜をしていた。そして、勿論この男は。
「がははは! まぁ、オレ様が指揮すれば、ざっとこんなものだな? がははは!」
腰に手を当て、高笑いをするランス。シィルも傍で笑顔で言う。
「お疲れ様です。ランス様。やりましたね!」
「これが当然というものなのだ! がははは!」
高笑いをするが、冷ややかに見つめる者も勿論いる。
「……全くアイツは」
「はぁ、本当にガキね。アイツって」
軽くため息をしているのは、かなみと志津香。今回、ランスも確かに戦ってくれて、間違いなく貢献した者達のなかでも上位に位置するだろう。
赤の軍副将であるメナド・シセイを抑えていたのだから(……正直、女性陣にとってはかなり複雑だが)。……が、それよりも。
「……やっぱり、ユーリさんは凄いよね、志津香。……リック将軍を止めた上に、打ち負かすなんて……」
かなみは、今回は驚きを隠せられないままにそう言っていた。
赤の軍将軍リック・アディスン。
リーザス一と謳われた剣の天才であり、その戦場では圧倒的に目立つ赤色、そして圧倒的な強さから《リーザスの赤い死神》とも呼ばれている将軍だ。かなみも、その実力は勿論知っている。メナドと共に何度も修練をしているから。圧倒的な手数と早すぎて見えない剣閃。人間が死神に勝てる筈がないのと同義で、一体誰が彼を倒せるものか、と本気で思ったくらいだ。
「……ま、アイツはアイツで戦闘狂だしね。だから勝てたんじゃないかしら?」
志津香は、何処となく誇らしそうにも思っている様に見えた。
……心から信頼しているとも。その男は、今はリーザス解放軍の司令室に趣いている。
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