第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
[6/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は拭えなかった。
〜リーザス城 地下牢〜
この場所で、リア女王と筆頭侍女のマリスが牢に繋がれている。
今日も終始激しい拷問を受けてやっと夜になり、開放された所だった。所々に、生々しい傷が、血が、痣が出来ており、そして……その肌には白く異臭を発する液も付着していた。秘部からも、ドロリと流れ落ちている。
「マリス……」
「リア様……、申し訳ありません。私がいたらぬばかりに……」
流石のリアも自我を保っているのがやっとと言う程にまで疲弊しているのが見て取れた。精神力と、必ず助けが来るという希望を胸にここまで耐えてきたのだ。……だが、その姿を視るのも辛いのがマリスだった。
「そんなの、良いの。マリス。……きっと、きっとダーリンが助けに来てくれるもん。……一緒に、リア達を……」
この時、名前を口にしなかったのは 誰が見ているかも判らない、聞いているかも判らない状況だった為だった。その名前から、ガードの魔法をかけてまで守りたかったものが奪われてしまう恐れがあるからだ。それだけはなんとしても回避しなければならないのだ。
「……でもね、マリス」
「はい……」
リアは、虚ろな表情でマリスを見つめた。
「リア……今日も汚された……責められた……、リアは……ダーリンのものなのに」
「……」
「だから……せめて、少しでも忘れたい……、リア、マリスにだったら……良いの」
「リア様……。」
リアは、温もりを求めていたのだ。それは信頼出来る人。あの人以外には、リアにとってこの目の前のマリスだった。ずっと、幼い頃から一緒にいたマリスだった。
「私でよければ……」
「マリス……っ」
マリスとリアは、抱き合っていた。互いに傷を舐めあうと言えば聞こえは悪いかもしれない。だが、極限の状態で……その中では唯一の安らぎになるのだ。
マリスとリアは身体を重ね合わせ……必ず助けが、ランス達が助けに来ると信じていたのだった。
その絶叫と嘲笑が絡まりあって響く地下から離れ、赤毛の魔人は1人、その地下へと続く階段の前で座り、考え込んでいた。
ずっと、ずっと考えていた。何故、自分の心が判らない? 何故、こんな気持ちになっている? と。
そんな時だ。
「―――サテラ」
音もなく、巨体がサテラの正面に現れた。
「っ……、の、ノスか。なんだ。いきなり……」
「リーザスの王女はどうなっている」
「さぁ。適当に楽しんでるんじゃないか。殺すな、とは言ってある。……だから大丈夫だ」
「うむ……」
何処か上の空であるサテラを見るノス。アイゼルの言う通りだ。その根幹は判らないが、何かがあった様だ。よもや、人間の世界でサテラが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ