第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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げた。そして、説明に入る。
「恐らくは驚異になる発端は、このカスタムの町からかと、思われます。……レッドの町の壊滅の一手になったのは、彼奴らの存在があったと報告を受けましたので」
「…………」
ハンティは、その言葉はてきとうに相槌をうって聞き流した。
彼女が知りたいのは、そこではないからだ。この周辺に……あの町があるか、否か、それだけが知りたかったのだ。
長年生きているが、時が経てば、町の名も変わるし、壊滅する事もある。だから、そこまで細かく覚えていなかったのだ。……そんなマメな性格じゃない、と言う事もあるが。
視線を忙しなく動かし続け、やがて1点に止まる。
「ここ……か。……結構近くだね」
「アイス……の町ですか。そこは、まだ一度も侵攻しておりませんが、特に驚異は……、問題視にもしておりませんが?」
「………いや、何でもないさ。ありがと、もう行っていいよ」
「? はっ」
ハンティはそのまま、歩きだした。
変わりゆく、パットンの姿。最早見限った軍上層部の幹部連中や、将軍で言えば、ロレックスの反応は確かに正しいのかもしれない。
――……そして 今は亡き、親友との約束もある。
だが、それ以上にハンティは頭を抱えた。
「(それにしても……参ったね)」
それはハンティのもう1つ、気がかり。それは、さっき見た位置情報……自由都市の地図。
町を少々挟んでいるとはいえ、比較的近い距離にあの町があるのだから。近隣の町に親交があったとしても何ら不思議ではない。
「こう言う再会は、あたしは願ってないんだがね……ユーリ」
そのハンティの呟きは誰にも聞こえていない程の大きさのものだった。
それは、以前知り合ったギルドの冒険者。とんでもない逸材と言える人間の1人だ。
……何よりも恩があり、信頼さえも出来ると言っていい男。いつかまた出会うだろう……と思っていたが、よもやこう言う形になるとは思っていなかった。それはお互い様だろう。
「(……また、ユーリ……あんたと相対するかもしれない、とは……ね。でも、そうであったとしても、あたしにも譲れないものはある。守りたい者だっている。……守らなきゃならない約束だって……あるんだ)」
ハンティも強く……拳を握っていた。頭の中に響くのは、あの時の声。
『立ち止まらずに進め。真っ直ぐに只管進め……時代の流れに身を任せて』
あの時の声。心に響いてきた声。
『……愛おしき、ドラゴンのカラー』
そう言ってくれたのは、もう何年ぶりだろうか。気の遠くなる様な時間。時代と言う時代を遡った更に過去。
「(………)」
再会を願っていたハンティ。だが、その胸中に過る複雑な思い
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