第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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強と称されているのがトーマ・リプトン。そのトーマが問題にならない程の者だったから、半ば嘘ではない。
魔人にさえ、引けを取らず、あの理不尽な結界が無ければ、打ち勝てるまでの力量だった。
……が、それも遠い過去の話。
伝説の男ともてはやされて、怠惰を貪り、今の姿になっている。正直、友にならなくて良かった、とさえハンティは思っていたのだ。トーマとは友達の関係だが。
ハンティが去った後、パットンは改めて今回の敗戦を思い返し、拳を握しめていた。
「フレッチャー……。何と言う事だ……」
パットンも、ハンティが来た事もあり、余裕も生まれたのだろう、平静を保ててはいるが、信じられないと言った様子だ。ハンティがこの場にいたら、『あの豚の実力を明らかに見誤っているだろ!』と強く言う事だろう。
「リーザス解放軍は、勢いを増し、進撃を続けております。このままでは、ジオの町まで落とされる危険性も……」
フレッチャーを破った解放軍は勢いそのままに、ジオにまで落とそうとしていると言う話を聞いたパットンは、立ち上がり声を荒らげた。
「トーマに我軍の主力を集めさせて、解放軍を全滅させろ! 急げ!」
「はっ! ……で、ですが、今我が軍はリーザス各地の制圧に散らばっております。この状況で軍を動かすと、リーザス各地で反乱の火の手があがる危険性がありますが……」
「構わん。まずはリーザス解放軍を撃破するのだ。これ以上奴らが大きくなる前にだ。間違いなく彼奴らが、主力部隊。頭を潰せばあとは烏合の集だ」
この時のパットンの采配は正しい。
現時点で最大のリーザスの兵力はこの解放軍であり、各地に点々としているリーザスの残党が全て集まった所で、リーザス解放軍の2割にも満たない兵力なのだ。逆に、リーザス解放軍と言うデカい光に集い、更に勢力を増す方がヘルマン側にとっては最大の驚異なのだ。
「はっ! わかりました。全軍をトーマ将軍の元に集結させます」
「………」
確かに、采配は正しいが、屈辱感と敗北感が頭の中に過るパットン。それは表情に顕著に現れていた。
伝令を伝えるべく、走り続ける兵士。謁見の間を出て、長い赤いカーペットの敷かれた通路を走る。
その時だ。
「……ちょっと良いかな?」
突如、後ろから声が聞こえてしまい、思わず尻餅をつきそうになってしまう。
「おいおい。大丈夫か? この程度で慌ててちゃ、ここを守れないぞ?」
「は、はい! 申し訳ありません。なんでしょう? ハンティ殿」
「レッドの町周辺の地図……、自由都市の全体の地図なんかないか? 周辺にある町の名が知りたいんだけど」
「わかりました。こちらです、ハンティ殿」
それを訊いて、常備している自由都市の全体地図を広
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