第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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ーリ殿に傷を負わせてしまった記憶が残っております。……その事のお詫びがまだ出来てません故……」
その事だった。
ユーリは、なんともなさそうに、平然と経っているが、その下には治療の後があり、包帯も巻いている。それが自分が与えた傷だと言う事もリックは判っていたのだ。
「それは、お互い様だろ? 剣士として、正面から正々堂々と戦って受けた傷。背中の逃げ傷では無く、正面。……それも強者から受けた物だ、……それを誇りにこそすれ、恨んだりするつもりは毛頭ない。それに、腕の良い治癒術士もいるしな? ……後で色々と請求されそうだが」
ユーリはそう言って笑っていた。あの戦いは、正直楽しかったと強く思っているのだから。リックも頭を上げた。
「……本当にこれ以上の詫びは要らないぞ。また、手合わせ願いたい、と言う誘いなら良いが。……勿論、リーザスを解放した後でな?」
「勿論です。ユーリ殿。こちらこそよろしくお願い致します」
ユーリの言葉にリックも頷いき、笑っていた。
「……リック殿とユーリ殿の一戦。……十分に学べる事が多いでしょう」
「じゃな。……年甲斐もなく、胸が湧き踊っておる自分が此処にいる」
「そうですね」
3人も、リックとユーリを見ていて、色々と思うところがあるのだろう。
真の強者の戦いは、周りをも魅了する。時を忘れて魅入ってしまうだろう。解放出来た暁には、特等席でその戦いを見てみたいと3人共が思っていたのだった。
〜レッドの町・復興工事現場〜
ヘルマン兵達に破壊された家屋や施設は、かなり大規模だった。短期間で何とか出来る様なものじゃない……、と思っていたのだが。
「……これは凄いな」
司令室から出てきて各様子を見に来ていたユーリは驚き、目を見開いた。町はまだまだ、爪痕が残るものの、瓦礫の撤去はほぼ終わっており、重機が忙しく動いている。
カスタム製!と大きく書かれたその重機は間違いなくマリアが作ったものだろう。
大きな作業は一段落終えた様であり、マリアも休憩をしていた。
「あ、ユーリさんっ!」
ユーリに気がついたマリアは手を振って迎えた。
「……正直、驚きを隠せないぞ? なんだってこんなに復興処理が早いんだ? マリア、お前って、オレなんかよりずっと、力も体力も上で、その上 有り余ってるのか? 大の男 数人の仕事量どころじゃないぞ? これは」
「そんなわけないでしょっ! 私は、これでもか弱い女の子ですっ!!」
「まぁ、それは冗談だが、本当に早いな、と思ったのは事実だ。驚いているよ」
マリアは、ユーリの発言にぷんぷんと、怒っていたが、気を取り直して説明をした。
「町の皆も手伝ってくれてるのよ。
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