第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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な、何者だ!?」
突然、ヘルマンこの謁見の間に現れた者に驚きを隠せない兵士達だったが、直ぐにパットンが制した。
「来た、のか……ハンティ!」
「……ああ、来るさ。あたしには距離は関係ないからね」
玉座から、飛び降りる様に彼女へと近づくパットン。
周りの兵士達も、冷静になりその姿を見たら直ぐに判った。この女性は、味方だと言う事が。それも、最も頼りになる者の1人だと言う事が。
「それで、おかしな術で正気を失ってたりは……しないか」
「……なんのことだ?」
「ったく、あたしの知らないトコで、魔人と手を組むなんて……」
ハンティはチラリと視線を移した。そこには魔人が佇んでいる様だ。ハンティが現れたことに、若干だが反応した。……だが、それだけだった。さしてそれ以上気にする様子もなく、警戒すらしていないのだ。
「……少し 席を、外します」
ノスは野太い声を静かに発すると、そのまま消え去った。
ハンティは、警戒心を強めていたが、完全にこの部屋から気配が消えたことを確認すると、改めてパットンのほうを見た。呆れた表情を浮かべつつ、睨む。
そして、その視線を受けたパットンは思わず視線を反らせた。黙ってことを進めた事は……いや、最早自分は子供でないと自負をしている。いちいち干渉される謂れもないのだ。
パットンもノスがいなくなったのを確認すると。
「奴らが忠誠を誓っているなどとは思ってない。利用できるうちに利用するだけだ」
「ああそうかい。一応、対抗策は持ってきたんだけど……、それより、本国じゃ大騒ぎだよ」
「騒ぎ?」
「重臣連中が非難囂々。――パットンは魔人に操られて軍を動かした。ってさ」
「オレは皇族だぞ! それに、成功すればそんな差し出口、黙らせるのは容易い」
「ま、あんたの想像の通り、率先して非難してんのは、シーラ派……ステッセルの腰巾着だけだけどね」
「……こんな所でまで、奴らの名前は訊きたくはないな……」
それはパットンの義母に当たるパメラ、そしてその娘であるシーラ。……ステッセルは、2人を担ぎ上げる宰相ステッセル。それはパットンにとって、リーザス軍よりも厄介だと思える、本国の政敵だ。
「それで、何のようだ? その話をしに来たのか?」
僅かだが、視線を逸らせたまま、パットンはハンティに殊更に問う。今の目を、ハンティには見られたくなかったのだ。
「いいや。……そう言うわけで、手古摺ってると面倒なんだ。あたしが片付けてやろうかとね」
「う……」
「リーザス解放軍、だっけ? その頭を始末してくれば、終わりだろ? まぁ 何処の誰が頭か判らないから一概には言えないけど。 ぱぱっと殺ってくるよ」
後半の言葉にやや、引っかかりがあるものの、
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