第6話
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ようと仲間集めに奮闘する。
男子たちからのかすみの評価は依然として高かったことも幸いしてか、多くの者がひかるの意志に賛同し、運命の日の夜、かすみの自宅の庭へと集まった。
雲一つない夜空で自らの存在を主張するように輝く満月が真円となった瞬間、凄まじい爆風と閃光に男子たちは体が岩石のごとく固まってしまう。月から降りてくる光の道を、きらびやかな平安装束に身を包んだ月の使者たちが、血の通わぬ眼差しを浴びせながら練り歩いてくる。それに誘われるようにしてかすみが縁側から現れると、使者の一人が彼女に問いかける。
「さあ、かすみ殿。なぜこの地上を去ることを惜しもうか」
彼の言葉を聞き、名残惜しそうに人々を見回した後、かすみが光の道へと足を延ばしたところで劇は終わる。
「確かに竹取物語ですね」
読み終えた直樹が感心したように話す。
「ちゃんと色好み五人衆も出てますね」
達矢も目を輝かせながら智を見た。
「やっぱりキーパーソンだからね。帝も書きたかったけど、絶対権力なんて今どきありえないからな」
智は登場人物が書かれたページを人差し指で軽く叩いた。
「そしたら、だいぶベタになっちゃったけどな」
「相手が古いですから、王道になっちゃうのは当たり前ですよ」
達也が智をフォローする。
「んで、どこを変えようか」
智は自分の顎を撫でながら後輩の二人に目をやった。
「告白シーンが無いのは分かりますけど、結局、ひかるはかすみのことが好きなんですか」
直樹が待ち構えていたように問いかける。
「どう感じた?」
「そうですね。好きではあるけど、恋人として意識はしていない、って感じですね」
「なんでですか」
達也は興味津々で森本尋ねた。
「うーん。幼馴染同士がお互いを異性として意識し始める、って言う話はいくらでもあるけど、これのひかるがかすみを叱ったり助けようと思ったりするのは、どちらかというと親心の方が近いんじゃないかなあ、ってね」
「なるほど」
「好きなんだろうけど、自分は釣り合わないとも思ってるだろうしね。そんな感じです」
「面白い考察だなあ」
智はにやりとした。脚本家の意図を汲めたようで、直樹も満足そうにしながら
「あと、付け加えてほしい描写があるんですけど」
と智に話しかけた。
「うん。何でも言って」
智は嬉々として手帳とペンをポケットから取り出した。
「かすみの感情の変化をもっと描写した方がいいと思います」
「なんで?」
「原作では、最初は感情が無かったかぐや姫が、段々と豊かになっていくと思いますけど、僕はそこが竹取物語の決め手だと思うんです」
直樹の言
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