3部分:第三章
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第三章
「けれどお化粧が」
「あっ、そうか」
「けどいいわ。泳いだ後でまたすればいいだけだし」
「それじゃあ」
「ええ行きましょう、それでどんな水着がいいの?」
「そうだなあ。それじゃあ」
そんな話をしてからドライブに出掛けた。まずはショッピングだ。
だがこれは軽く本屋やCDショップを覗いただけであった。新作のチェックだ。この前買いたいものを買ったばかりだったのでこれといってなかった。のだ。元々ショッピングに行くのは主な目的ではなかった。後はレストランに行ってカラオケに行った。軽く遊んだ後でプールに向かった。
陽子は更衣室に入るとすぐに裸になった。そして水着を取り出す。
「うふふ」
水着を見て笑う。この前買ったばかりの水着だ。それを眺めて笑っていた。
「これを着てね」
敦に、そして他にプールにいる客に見せる。水着でかえって強調された自分のスタイルを。
水着は白いシンプルなワンピースだ。あえてワンピースを選んだのだ。
それは何故か。ビキニよりもスタイルが強調されるからだ。実はビキニは案外スタイルを誤魔化すことが出来るのだ。胸と腰を覆うだけなので身体全体のスタイルは出ない。それに露出の多さでどうしてもそちらに目がいく。グラビア等でアイドルがよくビキニになるのもそれであった。露出が多く、スタイルの細かい部分が誤魔化される。だからワンピースよりもビキニの方が多かったりするのである。
だが陽子は違っていた。自分のプロポーションに絶対の自信がある。だからこそこれを選んだのだ。
水着を見て笑っている。だがここでまたあの声が聞こえてきた。
「見せたい」
「!?」
陽子はその言葉を聞いて辺りを見回した。だが更衣室には今は彼女の他は誰もいない。今丁度高校生位の女の子が入って来たところだった。
「やっぱり見せたいわよね」
「そうそう」
彼女達は底抜けに明るい声でキャッキャッと話していた。
「だからビキニ買ってね」
「わざわざプールに誘うのよね」
「うんうん」
「あの娘達かしら」
ふと昨日のシャワーの時も思い出したが少女達の話を聞くとそちらに考えがいった。
「見せてそれで悩殺して」
「そうよ、水着は見せる為のもの、女の武器よね」
「それを覚悟でこっちだって着るんだから」
「やってやるわよ」
「随分張り切ってるわね」
陽子はそんな話をする少女達を眺めてくすりと笑った。
「彼氏作るのに必死で。何か昔の私みたい」
そしてかっての自分も思い出していた。
「焦ってそれで失敗して、それでもまた起き上がって」
それが恋というものである。
「そして掴んでそれからもああだこうだってすったもんだで。今もね」
敦のことを思う。するとまた見せたくなる。いそいそとした動作で水着を着ける。そし
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