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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
第二十七話 肯定
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「どうして……」

「??」

その時、俯いたままだったアリシアが口を開いた。

「どうして……あんた、ここまでしてくれるの?あんたには関係ない話でしょう?」

「そうだよ……ましてや、私はクローン……助けられる理由なんてないのに……」

それを聞いた全は

「助けられる命なら……俺は、助ける」

そう返答した。

「え……?」

「クローンが生きちゃいけない理由なんてない。生まれた瞬間から……クローンにだって生きる理由はある」

「でも!」

「それに……オリジナルとかクローンとか関係ないんだよ、俺には」

そう言って全はるいから離れると自力で立ち上がる。

しかし、立つのでやっとなのか息が上がったままだ。

「俺にとって……フェイトやアリシアは友達だ。そこにクローンとかオリジナルとか関係ない。ただ助けたい……俺はそれだけで戦ってるだけさ」

そう言って少しずつながらも歩き出す。満身創痍の状態でも戦うつもりなのだ。

「とっとと地べたに這いずりまわりなよ。君は弱者で僕は強者……この法則は絶対なんだからさ!さあ、トドメだ!やれ!」

「やられはしないさ……俺は……!」

そして、コピー達の攻撃が全に迫る。

アリシア・フェイトSIDE

―アリシア―

何で……こいつは、私たちの為にここまでしてくれるんだろう……。

私はそう思って聞いてみた。

そしたら、オリジナルとかクローンとか関係ないとか言ってきた。

あんたに何がわかるのって言いたかった……管理局内でも、色々言われてるのも知らないでって……。

管理局内ではフェイトは「アリシア・テスタロッサのクローン」として見られ、私は「そんなクローンのオリジナル」として見られなかった。

でも、橘は言った。関係ないと。

それはつまり……橘は私は私、フェイトはフェイトという一個人として見てくれてるって事。

聖もそんな風には言ってくれるけど……何でだろう、橘の言葉には聖の言葉にはない、重みという物があるように感じた。

その時、私の脳内にある光景が出てきた。

―フェイト―

橘は変な奴だと思ってた。ずっと嫁嫁とか言ってたくせに……聖との戦いを機に一度も言わなくなった。

それどころか、心配もしてくるようになった。

そして、それが下心とかじゃなくて本心からの言葉という事もわかっていた。

でも、今回の件で私がクローンであると知られた時、私は「ああ、終わった……」と思った。

クローンは世間では忌み嫌われる。それは人道に反していると言われているからだ。

人の手で創られた命。そんなの、気味が悪いに決まってる。

でも……橘は関係ない、助けられる命なら助ける。
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