二話:闇の書覚醒
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それがどれだけ自分勝手で偽善的な想いかを知りながら彼の心は血を流し続ける。
娘の幸せを祈りながら娘の心臓を抉るナイフを研ぐ。
切嗣の行為とはそういうものなのだ。
「そう言えば、みんなに言っておかないといけないことがあったんだ」
「なんや、おとん?」
「イギリスにいる僕の知り合いの葬式があってね。僕は一週間ほど家を空けるよ」
「この国も久しぶりですね、父様」
「ああ、しかし帰ってくるたびに私がこの国の出身なのだと実感するよ」
「それが故郷なのだと思いますよ」
「そうだね。でも変わった所もある」
豊かなひげを蓄えた一人の老紳士と若い女性がイギリスの街並みを歩いている。
老人はどこかもの寂しげな目をして変わった所もあるが変わらぬ物もある故郷を眺める。
「それで、彼は来るんだね?」
「はい、最終調整は顔を合わせてしたいというのは彼の方からですしね
「思えば私が全ての元凶でもあるのだな。……彼の―――『魔導士殺しのエミヤ』の」
老紳士、ギル・グレアムは思い出す。
正義に絶望した青年に新たな希望を持たせてしまった己の罪深さを。
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