暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第57話 レッドの町の戦い・決着
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間の割には素早いですね。……ですが)先ほど、試したばかりでしょう? 無敵結界の前には剣も魔法も無力。……たった1人でこの私に向かってくるのですか?」

 アイゼルは明らかに見下した姿勢をとっていた。そして、あまりに滑稽なのか笑すら浮かべている。それも無理はないだろう。

 魔人と言うのは、圧倒的に人間よりも強い能力、身体を保有しているから。人間側からすれば、害虫の様にしか見えていないだろう。

「あまり、得策とは言えませんね。レイラもそう、そして……あの醜い肉塊は置いといたとしても、それ以外にも中々の強者は沢山いた筈です。消耗しているのは貴方方だ。……それでも、引き止めるのですか」
「………」

 ユーリは、アイゼルの目を見た。その瞬間。

『……サテラに続き、お前もか?アイゼル』
「(っ!)」


 再び……世界が止まった。


 それは、魔人であるアイゼルも同じだった。身体が全く動かないのだ。

「(これは、幻覚魔法、ですか? いや、其の筈は無い。我らの無敵結界はあらゆる属性の魔法であろうと通さない。……なら、一体これは……?)」
『……不可侵派であるお前達が離反するとはな? 余程、ホーネットには器が無いと見える。ついて行く将を見誤ったか?』

 その言葉を言った瞬間、アイゼルの目に狂気が走った。世界が止まっているのにも関わらず、動けないのにも関わらず、殺気を飛ばす。

「(何をしてるか知りません、……が、ホーネット様を侮辱するのは、流石に頂けませんね)」

 声だけで、人間であれば、或いは殺せる。そう思える程の狂気を孕んだ怒気。その口調からは考えられない程、それは顕著に現れていた。
 そう、人であれば立ちすくみ、動けない程のもの。だが、この声は全く動じる様子もない。

『……ふ、ふふ。なるほどなるほど……、お前らの離反は、ホーネットの意思じゃないという訳か。……企てたのが誰かは知らんがな』

 その言葉を訊いて、アイゼルは動揺を隠せられなかった。鎌をかけられた、と言うことなのだ。

「(貴方は……何者ですか?)」
『……知る必要は無い。魔の者よ。サテラ、そしてアイゼルか。魔人は二枚岩と言う訳ではあるまい。……何をしようとしているのかは知らんが、努努油断しない事だ。……人間を』

 そして、その次の瞬間。

 先ほど自身が放った殺気がまるで子供。……いや 赤子にさえ思える程の巨大な、強大な何か(・・)が、アイゼルの全身を覆った。


『………人間を、舐めるなよ』


 その殺気がアイゼルの身体を通り抜けた瞬間、再び世界が動き出した。


「………」
「………」


 アイゼルとユーリは互いににらみ合ったまま。その時だ。

「うっ……、ここは?」

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