狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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一方でシュウのことを頼まれたテファは、彼の部屋の方へと向かった。そろそろ彼にも起きてもらわないといけない。彼を起こすために部屋に入出すると、そこには机の引き出しを開け閉めするシュウの姿が目に入る。すでに起きていたようだ。
「ど、どうしたの?」
「…いや、ちょっとしたものがなくしたらしくてな。探しているところだ」
あくまで冷静に返答していたが、テファにはどこか、彼が焦っているようにも見えた。こんな彼はみたことがない。何か大事なものをなくしたのだろうか。
いや、実際彼は内心では焦り始めていた。そして自分のまずらしく間抜けさをさらけ出していた自分を恥じていた。まさか、ウルトラマンに変身するためのアイテムとなくしてしまうとは!
(ち、俺は何をしていた!…いや、待てよ)
ふと、シュウは何かを思い出したのか、テファの方を振り向く。
「サムは?」
「え?姉さんが今、トイレじゃないかって探しに行ってるみたいだけど」
(やはりか!)
どう考えても分かりやすい犯人。サムの奴が盗み出したのを、マチルダが追いかけたに違いない。
と、その時だった。あわてた様子でエマたちが駆けつけてきた。
「大変だよシュウ兄!姉ちゃん!」
「どうしたの!?」
「む、村のすぐそこに怪物が!!」
「「!!」」
このタイミングでビーストが!?
子供たちに促されつつ外に出ると、百足のような突起を体から生やした長い首を持つ怪獣ムカデンダーが、シュウたちを見下ろしていた。
「ひぅ…!!」
村のすぐそばに現れた怪獣に対し、恐れおののく子供たち。テファは恐れと驚愕を、シュウは苦虫を噛み潰したように顔を歪ませた。こういう時こそ、自分が持つウルトラマンの力が必要になる。が、今変身することができない自分に残された武器は…ディバイドシューター一丁とパルスブレイガーだけ。とてもあいつを倒せるだけの火力は持ち合わせていなかった。
「伏せろ!」
ムカデンダーは、まず一発の火炎弾を村の小屋に向けて放ち、木端微塵に砕いた。
「「きゃああああああ!!」」
村の皆はすぐ頭を伏せ、子供たちから悲鳴が上がる。
シュウは顔を上げてムカデンダーの姿を見上げる。奴は余裕をかましているのか、すぐに二発目を放ってこようとはしなかった。
今のはただのあいさつ代わりなのか。舐められている…しかし、今の自分は、エボルトラスターがないために変身することができない。
「く…全員急いで村から逃げろ!荷物のことは全部放っておけ!今は自分の命を最優先させろ!!」
とにかくここにいつまでも留まるのは危険だ。シュウは銃を手に取り、自ら率先してまずはテファたちの避難誘導を開始した。
「ティファニア、チビたちを連れて先に行け!」
「シュウはどうするの!?」
「俺は少しこいつの相手をしてから追う!早く行け!」
怪獣の
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