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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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ムの二人が駆けつけた。二人は直ちにシュウの腕の中のテファの顔を見やる。彼が先ほど確認した通り、テファの意識はすでになく、やけども酷い。
「まずい…こりゃ医者にさっさと見せないと!!」
このままではテファの命が危ないと判断した。幸い、一方で、テファの魔法を喰らったムカデンダーは、ぼうっとしていた。罪のない少女を一人焼き殺しにかかったというのに、呑気な態度に怒りたくなるくらいに。どうやら彼女の忘却の魔法が効いたようで、今自分は何をしていたのか、なぜここにいるのかを理解できなくなったようだ。
「二人とも、今のうちに他の子たちと合流して、村から脱出するよ!!」
マチルダが二人の肩を叩き、ムカデンダーが行動不能である今のうちに皆を連れて逃げることを進言する。
サムは、酷いやけどを負って意識を手放しているテファと、彼女を腕の中に抱きかかえたまま青ざめているシュウを見て、胸を締め付けられた。自身の行いの重さと愚かさを思い知り、呪った。
「……兄ちゃん…テファ姉ちゃん…ごめん…僕のせいで…僕のせいで……」
謝罪をしたところで許してもらえるとは思わなかったが。それだけ愚かなことをしてしまったのだから。しかし四の五の言っている場合じゃないと悟り、シュウに謝罪した。テファにも謝らなければならない。
「僕が馬鹿だった…僕が……これ、兄ちゃんからとり上げなかったら…」
テファが傷つくことも、村が今のように火に包まれることもなかったのに…。サムは確かにシュウの上に立とうとしていたが、テファたちを死の危険にまで巻き込むつもりなど全くなかった。それこそ本末転倒だ。
自分が引き抜けない以前に、こんな未熟な精神の自分ではこの力は…扱えない。自分の非と認め、サムはエボルトラスターとブラストショットをシュウに差し出した。
が、シュウは何も言わなかった。テファの顔を見たままなのか、俯いたまま視線をマチルダにもサムにも向けなかった。
「兄…ちゃん…?」
やはり、自分のやったことを許してくれないのか。それも当然だろう。シュウ、テファや村、そして他の子供たちさえも危険に追い込んでしまったのだ。罵声の一つ二つなど貰わない方がおかしいくらいだ。
すると、シュウはサムにもマチルダにも視線を向けないまま、マチルダにテファを預ける。
マチルダの視線に目を向けず、視線を合わせないままサムが差し出してきたエボルトラスターとブラストショットを引っ掴み、二人から数歩下がった。
「…テファを、頼みます」
その時のマチルダに、シュウはまるで、何かを押し殺そうとしているような、何かを強く我慢しようとしているように見えた。その身は震え、手の中に納めていたエボルトラスターさえも握りつぶしそうな勢いだった。
「死ぬんじゃないよ?」
ムカデンダーに背を向けたまま俯き、突っ立ったままのシュウを残し、マ
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