暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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そんなありもしない幻想は晴れた。ましてや自分がとった行動のせいで、テファたちがかえって危険に陥っている。自分がなんて馬鹿で単純だったのだろうと。あの時、あのガーゴイルが渡してきたナイフをどうして断れなかっただろうと悔やんだ。
『大人しく返すわけがないでしょう?』
しかし、そんなことはさせまいとガーゴイルが二人の前に降り立つ。シュウに変身など許してしまえばこっちの計画はその時点でガタ落ちだ。無論、そんな野暮な邪魔を許すわけにいかない。
マチルダが杖を振うと、地面から土で形成された腕が生えてきて、立ちはだかってきたガーゴイルを捕えた。
「反省する気があるなら、ほら…お行き。あたしが時間を稼いでやるから」
「………」
「テファを守りたいって気持ちは本物なんだろ!あいつを見てな!」
ガーゴイルの向こう側、マチルダはそこを指さす。
「グゴオオオオオ!!」
一矢の閃光が、シュウのディバイドシューターの一発が見事、ムカデンダーの固い体を直撃する
「あいつはウルトラマンになってなくても、それでもあたしたちを守るために戦ってる!なのにあんたは、変身できなきゃ守る気も起きない弱虫なのかい!?」
「…」
シュウの、強大な敵に立ち向かっている姿勢だった。目を貫かれて逆上するムカデンダーの、さらに激しさを増す火炎弾の嵐の中でも、シュウは決して戦う姿勢を崩していなかった。それを見て、サムは自分が余計にみじめに思えた。さっきまで心の隙を突かれ操られていた自分の姿と、今の強大な敵に立ち向かおうシュウの姿。そしてその姿の根本にあるのは、誰かを守りたいという想い。比べてみても、どっちがあるべき姿なのかと問われれば、一つしか選べない。
「……でも…」
それでも、自分がやってしまった行いの重さを、シュウとの一人の人間としての、男としての差を思い知り、サムは自信と失い自らをずるずる卑下していく。
が、その時サムにとっても、マチルダにとっても決して無視しきれない事態が起ろうとしていた。
「…テファ!?」
しかも、テファが杖を振った次の瞬間、ムカデンダーの火炎弾が彼女を真っ向から襲い掛かってきた。
「テファーーーーーーーーーーー!!!」
マチルダの叫びも虚しく、火炎弾は爆発を引き起こし、森を火の海に変えて行った。
立ち止まるわけにいかなくなった。マチルダとサムは直ちに二人の元に駆け付けた。


「ちッ…」
シュウはかなり体力からして限界に近づきつつあった。たった一人、防衛チームの新米がここまで持ったのは良い方かもしれないが、自分が求めていたのは『負けたけど精いっぱい頑張ったんだよ』って程度なんかじゃない。テファたちを無事に逃がさなければならないのだ。
あちこちやけども出来上がっている。ラグドリアン湖で回復したダメージも、この様子ではぶり返してきそうだ。

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