狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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「!!」
息を呑むテファ。その一方でシェフィールドは、ガーゴイルの向こうでふ、と気味の悪い笑みを浮かべていた。
「姉ちゃん!?」
だがその直後のことだった。テファは駆け出していた。杖を取り、シュウの元へ一直線に駆け出していた。
『な!?』
ガーゴイルの目を通して、シェフィールドも驚きを見せていた。まさか、子供たち以上に使い魔を優先したというのか?この世界において、使い魔とは主のために命を懸けて戦うのが当然。だが、彼女は自分の使い魔を優先した。主としての使命などかなぐり捨てて。
これはシェフィールドにとって予想外だった。
「ちぃ…!」
怪獣は確かに自分の方に注意を向けているが、テファの方もマチルダの方も、ピンチに陥っていた。ムカデンダーの放つ火炎弾は、ずっと走り続けているシュウの疲労をじわじわと誘って行く。やがて、さらにもう一発放ってきたムカデンダーの火炎弾の爆風が、シュウを吹き飛ばす。
「っぐ…!!」
地面に落ちたシュウは体に激しい痛みを覚えた。だが、ここで倒れることだけは許されていない。痛みをこらえながら立ち上がるシュウは、再びムカデンダーを見上げる。ムカデンダーはすぐにでも彼を食いたいのか、血眼でこちらを見下ろしている。
しかし、その気が満々の割に、ムカデンダーは動きを止めた。
『しぶといのねぇ。いい加減諦めた方がいいんじゃなくて?』
奇妙に思っていると、シュウの方にもまた、シェフィールドの操る3体目のガーゴイルが降りてきた。シュウ自身は見覚えがある。いつぞや、自分をこそこそつけてきたあの変な蝙蝠のような物体。
『しかし、だからこそさすがは我が同胞と言うべきかしら』
「……」
『初めまして、かしら。あなたと同じ虚無の使い魔…ミョズニトニルンよ』
「虚無の使い魔、だと?」
確か、サイトが虚無の使い魔、ガンダールヴだった。以前聞いたテファの歌の歌詞によると、4人いるとか聞いていたが。さらに、こいつの言い回し…俺もまたその一人だと?
『さて、単刀直入に尋ねるわ。今すぐ、私たちに降伏なさい』
「降伏、だと?」
直球に降伏を勧められ、シュウは目を細めた。
『私がこうして、こんなちっぽけな村を襲った理由はなんだと思う?』
ガーゴイルが、シェフィールドの言葉を借りながら問う。
シュウは、確信した。この女は、知っているのだ。自分がウルトラマンであることを。
「…俺を殺すためか?」
『いえ、すぐに殺そうとするつもりはないわ。正解を教えましょう。それはあなたとあなたの大事なご主人様の存在を欲しているからよ』
「何?」
『これまで私たちは、あなたたちウルトラマンに邪魔をされてきた。普通ならこの場で殺すことも考えるものだけど、簡単に殺しにかかってはもったいない。だから、あなたたちには私たちの味方になってもらい、その
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