狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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、感情をほとんど表に出さなかった彼が確かに抱いていた、悍ましいほどのどす黒い感情を……。
ドクン…
ネクサスの、シュウの周りの音が一切シャットアウトされた。周囲が音も光もない、闇の中に感じられた。
自分を助けようと駆けつけ魔法を放ったところ、ムカデンダーの火炎弾の余波で大やけどを負わされたテファの姿。自分が抱き上げたときにはすでに意識を手放していた。どんなに呼びかけても目を覚まさない。
絶望した。
そして彼の脳裏に、記憶の中に決して拭い去れることなく染み付いている、彼にとって史上最悪の記憶が蘇る。
―――――シュウ…ごめんね
雨の中、崩れ落ちた建物の中央。そこで互いに雨に濡れていた。現在より少し幼さのある『少年』の腕の中に抱かれた少女が、雨と混じっていく涙を流しながら目を閉ざしていく。シュウが握っていた少女の手が、雨のせいだけではない。力をなくし、いともたやすくずるりと滑り落ちた。
やっとつかめたはずの絆が…壊れていく…恐怖
「…!!!」
いつも冷静に、無愛想な顔のままながらもサイトたちと接し、力を貸し続けていた青年が、これまでにないほどの蒼白な顔に染まっていた。
―――――俺は何をしていた?
―――――何をやっていた?
―――――こんなことを二度と起こさせないために
―――――ナイトレイダーになったんじゃないのか?
―――――戦って誰かを守ることが、俺に課せられた使命で、『罰』だから…
―――――光の力を手にしたんじゃなかったのか…?
―――――なのに…このザマはなんだ?
―――――俺は、なんのために…
―――――平賀は皇太子を救ってみせたのに…
―――――やはり、俺には…できないと…いうのか…?
―――――何故?
―――――何故?
―――――ナゼダ…!
―――――……………………………………ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
何かが、シュウの頭の中で、プッツンと切れた。
(また邪魔をしてくれちゃって…しつこい男ね)
一方でガーゴイルの目を通して今の景色を見続けていたシェフィールドは、つくづく邪魔をしてくるネクサスことシュウに苛立ちを募らせていた。
『ムカデンダー、もう遊びは終わりよ!一気に奴…を…』
が、その途中で彼女は言葉を詰まらせた。
ガーゴイルの視界越しだと言うのに、ゾオォォッ!!とするほどの悪寒が彼女を襲ってきた。
(な…何…?)
今のは、なんだ?一瞬世界が凍りつくような冷気に見舞われた。
その時、彼女は感じた。自分が味わうはずがないと思っていた感情……『恐怖』を。
両手を震えさせながら握り拳を作って
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