狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
[11/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
チルダとサムはテファを抱えて一足先に子供たちの元へ向かった。去りゆくマチルダたちを見送り、シュウはエボルトラスターを鞘から引き抜いた。
シュウ本人でさえ認知していなかった。
鞘から剣が引き抜かれた時、一瞬だけ刀身から、『黒い波動』のようなものが現れたのは。
一方で、シュウに当たっていた一体の個体をやられ、代わりに駆け付けさせた二体のガーゴイルの目を通したシェフィールドはムカデンダーに対して悪態をついていた。
『ちぃ、ムカデンダー…こうなったら担い手の体だけでも奪い取るわよ。できなければ、たとえ生き残ってもあんたは殺処分させてもらうわ』
今回の彼女の目的は、シュウのウルトラマンの力を無力化すること。そして『虚無の担い手と使い魔を可能な限り生け捕りにする』ことだった。だが、結局作戦は失敗に傾きつつある。結局シュウにエボルトラスターを奪い返されてしまっただけでない。
虚無の担い手……つまりティファニアを取り逃がしてしまう。主はまだ泳がせても構わないとは言っていたが、早いうちに手を撃つことに反対はしなかったし、手綱を握れない獣は殺処分した方が都合がいいのだ。
ここは仕方ない。ムカデンダーをもう一度動かし、強引に出るしかない。場合によっては、あのウルトラマンの変身者を殺してでも。
考えている間に、赤い光が立ち上る。シュウが変身した巨人、ウルトラマンネクサスだ。
(やはり、結局変身を許してしまったか…!)
使い魔を助けに向かうと言うティファニアの行動が予想外だったこともあり、あの少年が盗んでいた変身に使うアイテムを返す時間をみすみす与えてしまうとは。
(この私にしては、とんだ失敗だったわね。さっさとあの餓鬼を殺して奪い取るべきだったが、相手をいたぶるのを楽しみすぎたわね……!)
『ほらムカデンダー!ぼやっとしてないでさっさとあの男を倒しなさい!』
いまだにボーっとしている状態のムカデンダーにシェフィールドは乱暴な怒鳴り声をあげながら命令を下した。
「グゴオオオオオ!!!」
背後から自信の首を伸ばして襲い掛かってきたムカデンダー。ネクサスは瞬時に振り帰り、両手でガシッとムカデンダーの頭を掴むと、相手の首を蹴りつけるが、ムカデンダーの首はかなり丈夫で怯ませるに至らなかった。頭を掴まれたムカデンダーがネクサスの腕を振りほどこうと己の首をかき乱すように動かす。その力でネクサスの手からムカデンダーの頭が離れようとするも、ネクサスは角を掴み、一撃目に首を蹴り、二度目に奴の顔を殴りつけた。
(…倒すッ…!!)
拳の一発一発には、怒りが込められていた。ただ平穏に暮らしていた心優しい少女たちの住むこの小さな村さえも蹂躙したこの怪獣と、それを操る黒幕の女に対してネクサスは怒りを抱かずにはいられなかった。
続けてネクサスがムカデンダーの首をヘッドロ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ