狂乱者−バーサーカー−part2/荒れ狂う巨人
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方へ駆け出そうとするシュウ。しかし、テファが彼の手を瞬時に掴み、引き留めた。
「待って!いくらなんでも危険よ!」
「そんなもん承知の上だ。それより早く行け!」
「嫌!!」
テファは彼の言うことを聞こうとしなかった。頑なに彼の手を離そうとしなかった。
恐怖が募っていた。幼い頃、父と母が死に、ヤマワラワも姿を消し、死にかかった恐怖が、彼女から平静さを奪った。さらに、故郷でも怪獣と戦ってきたと言う彼が、今度こそここで…故郷でもないこの世界でも自身を危険に追いやろうとする彼を見ていると、彼の手を掴まずにはいられなかった。
「……」
そうしている間に怪獣が迫ってきている。ここで要らない諍いを起こしている場合ではないのだ。下手をしたら、テファたちが危ない。迷っている暇はなかった。
「きゃ!ま、待ってシュウ!戻って!」
「シュウ兄!!」
テファの手を乱暴に振り払い、子供たちの声も無視し、シュウは駆け出した。村の北の方へと駆け抜け、ディバイドシューターを怪獣に向けて放った。すると、弾丸を顔に受けたことで怪獣はシュウの方を睨み、彼を追い始めた。
「シュウ…!」
このままではシュウが!自分たちの都合で勝手に呼び出してしまった彼をここで見捨てたりなんてできない。テファは、衝動に駆られるように杖を手に取った。
4大系統の、敵を倒すようなすごい魔法なんて使えないが、それでもものはためしだ。
―――やはりここにいたのね
しかし、彼女の行動を先読みでもしていたかのように、誰かの…女性の声がテファの耳に入り、彼女は足を止めた。
「誰…!?」
―――ここよ、御嬢さん
不敵な笑みを浮かべているのが容易に想像できる声。それが聞こえた9時の方角に視線を傾ける。その時の彼女の目に映ったのは、紫色に光るルーン文字を体に刻み込んだ、一匹のガーゴイルだった。
一方で、マチルダの目の前で鞘からエボルトラスターを引き抜こうとしたサム。
…しかし、鞘からエボルトラスターは引き抜かれなかった。
「な…なんで!?」
慌てるサムをよそに、マチルダはすっかり呆れかえっていた。
「はぁ…あんたってホント馬鹿だね。抜けるわけないじゃないか。だってそれは、ウルトラマンと同化している奴じゃないと引き抜けないって、当の本人が言ってたよ」
「くそ!!」
「さあ、大人しく盗んだものを返しな。今なら許してもらえるはずだよ」
手を伸ばして、帰ってこいと促すマチルダだが、サムは首を乱暴に振って嫌がり出した。
「い、嫌だ!!僕が…僕じゃないといけないんだ!僕がテファ姉ちゃんたちを守らないと…」
頑なに自分の非を認めようとしないサム。相手が自分が拾い養ってきた子供であるから遠慮していたが、さすがにマチルダも我慢ならず、ついに怒鳴り散らした。
「ふざけたことぬかし
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