誓い-ラグドリアン-part2/眠れる王子
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、ほんのにわか程度ですし。でも、これで…ウェールズ皇太子はきっと大丈夫ですよ。いつか必ず目を覚まして、今度こそ誓いの言葉を、伝えてくれると思う」
「…そうですわね。でも今回の一件で、私は皆さんにも、ウルトラマンたちにも迷惑をかけてしまいました」
途中まではウェールズが無事であることを喜んでいたが、それ以前に自分がまんまと敵の誘惑にかかって、ルイズたちに迷惑をかけてしまったことを思い出し、後悔を表情で表した。
「なら、今回の一件のことを償えばいい」
「あんた…!?」
すると、シュウが一歩前に出てアンリエッタに言った。目を丸くするルイズたち。
「貴様、もしや姫殿下に危害を…!」
「待って、アニエス」
愚かなことを下とはいえ、仕える主を守ろうと傷ついた体のまま剣を抜こうとしたアニエスを、アンリエッタは手で制した。
しかし一方でシュウの視線に少しばかり恐怖を覚えた。自分は、さっき自分たちトリステイン王国の民の英雄としても捉えられている彼を、一度はウェールズへの盲目のためだけに命を奪えと命じた…つまり、自分の都合で時刻の英雄を、一番裏切ってはならない立場にある自分の手で切り捨ててしまったのだ。殺されたって自分に文句を言う権限はない。
「…なんなりと申してください」
命で償えといわれてもそれを請け負う覚悟を決めたアンリエッタは、耳を傾ける。しかし飛んできた言葉はそういった類のものではなかった。
「あなたはいずれ女王となるはず。だから、二度とその使命から逃げないと、ここで眠った皇太子に誓いを立ててくれ」
「え…?」
シュウは恨み節の一つも言うことなく、ただそれだけを言った。
「私を…恨まないのですか?」
「恨みなんかどうだっていい。それよりも、少しでも申し訳ないという気持ちがあるなら、誓いを立ててくれ」
淡白なのか、それとも無頓着なのか。しかし、まっすぐ見据えながら答えを待つシュウ。これでは、一度でも彼に怯えた自分が馬鹿らしくなってきてしまう。だがどこか安心もしていた。まだこの人は、ウルトラマンはまだ自分を見限ってなどいなかった。ウェールズを救い、さらに自分にチャンスをくれたゼロとネクサスに感謝し、アンリエッタはウェールズが眠っている湖の水面を見つめながら誓いを立てた。
「ウェールズ様、私は…もう逃げません。ウェールズ様と、国も民も捨てようとしたこの愚か者の王女を救ってくださったこの方たちの思いと期待に応えるため…トリステインの女王となります」
「…ウェールズ、俺も誓うぜ。お前が眠っているこの場所を、そしてお前が大事にしてた姫さんも、お前が目を覚ますまで守ってやる」
アンリエッタに続いて、グレンもまた誓いの言葉を立てた。
誓いの言葉を聞き届けたように、湖は立ち上る太陽の光で反射し、その光がアンリエッタたちを照らした。
「………」
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