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手のなる方へ
9部分:第九章
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。何故か神主の家から神社の境内に案内されていた。服も着替えさせられ先程の鬼の娘と同じ巫女の服を着ていたのである。
「あの神主さん」
 その暗い境内の中で彼女は神主に声をかけていた。
「何じゃ?」
「今から何をするんですか?」
 怪訝な声で彼に尋ねていた。彼女は神社の中で立っていてその側に神主が寄り添っていたのである。二人並んでそこにいるのであった。
「この境内でするんですよね」
「ああ、そうじゃが」
「それは一体何でしょうか」
「すぐにわかる」
 彼はこう答えるだけであった。
「すぐにな。さて」
 ここで。扉が開いたのだった。そして入って来たのは。
「やあ神主さん」
 村の村長だった。にこやかに笑って神社の中に入って来たのであった。
「もうそちらの準備はできておるようですな」
「はい、そうです」
 またにこやかに答える神主であった。
「今年も無事できました」
「そうですな、今年もこれで大丈夫です」
「!?今年も」
 今の言葉を聞いて怪訝な顔になる恭子だった。
「今年もって。何が一体」
「ああ、こちらの話じゃよ」
 村長もまたにこにこと笑って彼女に答えるのだった。
「こちらのな。だからな」
「気にすることはないんですか?」
「その通り。ささっ」
 ここでもう一人村長に案内されて部屋に入って来た。その部屋に入って来たのは。 
 あの少女だった。鬼をしたあの少女だ。今度は目隠しをせず表情がない朧な様子で部屋に入って来たのだった。目だけが恭子を見ている。黒い大きな目で。

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