魔境-ミラーナイト-
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が犬に噛まれた傷程度で怯まないで、もっと俺を…楽しませてみろよ!消し炭にし甲斐がないじゃないか!」
姑息な手口で古傷をえぐっておきながらなんて言い草だろう。
高笑いしながら、メフィストはネクサスを痛めつけるのをとことん楽しみ出す。傷の激痛のせいでまともに腕を振るえない彼を、殴り、けり、光弾を打ち込み、踏みつけるなど、端から見れば、物語でよく展開される悪と正義の正当な戦いの構図など微塵もない。そこにあるのは、悪党によるただの暴力沙汰だった。
「待ってろ、今行く!」
ゼロは直ちに、両腕をL字型に組み、父親から受け継いだ必殺の光線をメフィストに向けて放った。照準は合わせた、まっすぐメフィストに飛ぶように。
〈ワイドゼロショット!〉
「デア!!」
光線はまっすぐメフィストに向かっていく。対するメフィストは、おかしいことに一歩も避けようとしていない。ゼロの発射が一瞬早かったせいで反応が遅れていたのだろうか?
しかし、そうではなかった。
「ウワアア!!」
その爆風によってダメージを受けてしまったのは、メフィストではなかった。
助けるはずだった、ネクサスのほうだった。
「え…!?」
『な、なんであいつの方に光線が!?』
動揺するゼロとサイト。確かにさっき、光線の照準をメフィストに向けていたはずだった。それなのに、光線でダメージを負ったのはネクサスの方。かえって彼をピンチに追いやってしまった。
実は、これもまたガルベロスによるものだった。奴の放つ催眠波動が、ゼロの視界を支配し、あたかも自分がメフィストを狙っているように幻覚を見せていたのだ。
呆然としているゼロの足元にミラーナイトが放ってきた光刃〈ミラーナイフ〉が飛ぶ。
「君の相手は…私だ」
「く…!!」
ミラーナイトが邪魔をしようと立ちはだかったせいで今度もネクサスへの救援は叶わなかった。やむを得ずミラーナイトと対峙するゼロ。しかし戦っているのは彼だけではない。ガルベロスも同時に相手をしなければならなくなった。
「グガアアア!!」
「く…デア!!」
真っ先に襲ってきたガルベロスに、ゼロは自ら掴みかかり、脳天にチョップを連発する。だがその隙にミラーナイトが背後からつかみかかって、彼の首を締め上げていく。たまらずゼロは首を締められた状態のまま、背中を前に倒してミラーナイトをそのまま前の方に投げる。背中を打ち付けられたミラーナイトは、すぐに体制を整え、至近距離からミラーナイフを撃つ。
「ガハァ!!」
宙を舞うも、何とか着地に成功するゼロは再び光線を、今度はミラーナイトに向けて放つ。しかし、今度はさっきとは違う現象が起こる。ミラーナイトに着弾した途端、ミラーナイトの姿がガラスのように砕け散った。
「!」
城の時と同じ、鏡の中に逃げ込まれていたのだ。すると、今度は背後か
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