追憶-レミニセンス-part2/忍び寄る影
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――――会いたい…会いたい!!
――――この世界でたった一人の愛しい人…ウェールズに!!
――――あの日のように、互いに笑いあっていたい!
しかし、この日の時間は遅く、部屋から出ることも禁じられていた。身の安全のためと仕事をサボるなという警告の表れではあるが、はぁ…とため息を漏らしたアンリエッタ。いくら自分のための配慮のつもりでも、彼女にとっては自分を閉じ込める邪魔くさい鳥籠でもある。ボーウッドに真実を聞くのは、仕方ないが明日になるだろう。
アンリエッタはネグリジェ姿に着替え、いつも通りベッドにもぐりこんで眠りについた。
せめて、眠りについて夢を見ている時間くらい、自由でいても罰は当たらないわよね…。
そして、夢を見た。3年前のラグドリアン湖で行われた母マリアンヌ太后の誕生パーティ。ガリア、ゲルマニアをはじめとしたハルケギニア各国から王族と貴族が着飾ったあの夜の出会いを…。
しかし、アンリエッタは気づいていなかった。眠りについたこの瞬間、悪魔の戯れの序章が始まったことに…。
三年前のラグドリアン湖で行われたマリアンヌ太后の誕生パーティ。アンリエッタは会合した人への挨拶や追従に嫌気が指していた。ルイズが遊び相手になってくれていた幼い頃よりずっと似たようなことばかりをさせてもらっていたものだから、たまには違うことをしたり、新鮮な空気を吸い込みたかった。
天幕が並ぶ一角をフードで覆い隠しながら彼女は、夜の静寂に包まれたラグドリアン湖の湖畔にたどり着いた。月明かりが反射して、その光景は美しかった。
見とれるだけではいられなくなった彼女は、周囲に人がいないのを確認すると、ドレスを脱いで、生まれたままの姿で湖に足を踏み入れ身を清めると、水の中へ潜った彼女は泳ぎ始めた。当時の季節は初夏、寒いどころか、ちょうどいい温度となっていたため加減は十二分だった。追従に見られたら怒られるだろうが、それでも彼女はひと時のこの自由な時を楽しみたかった。
すると、ちょうど自ら顔を上げた時、森から生い茂る草がカサカサと揺れる。人の気配もだ。アンリエッタはその身を両手で隠し、羞恥で赤らめながらも森の方を睨みつけた。
「誰!?名乗り出なさい!」
「ま、待ってくれ!僕だよ、アンリエッタ」
結構慌てたように森の方から聞こえてきたのは、彼女と深い愛情を紡ぐこととなる少年…アルビオン皇太子ウェールズだった。
「ウェールズ、様?従兄弟の…!」
従兄とはいえ、それぞれ別の国の王族。会う機会がないこともあり、二人はこの日初めて会った関係だった。
急いで体をふき取り、ドレスを身に着けた彼女は、「もう出てきていいですわ」と声をかけると、偶然にも彼女の裸体を見てしまったことで顔にいまだ赤みを指しているウェールズが顔を出してきた。
「驚かせて済ま
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