追憶-レミニセンス-part2/忍び寄る影
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ゃんと一緒に戦ってこれた。俺はこのことに違和感を感じてるんだ」
これまでのシュウと共に行ってきた行動を振り返りながらサイトはそう言った。確かに、シュウとはそんなに面識があったわけじゃない。単にパラレルワールドとはいえ、同じ地球人であり使い魔でありウルトラマンという二人の間にある共通点が、二人を何度も引き合わせ、そして力を合わせて戦うという状況を生み出し、全て結果的にうまくいき続けた。地球にいた頃、生徒たちの中で必ずクラスに一人、一人ぼっちを好んだりもする奴もいれば、多くの人と触れ合おうとする者もいるし、中には平気で他人を傷つける者だっているのを思い出す。友人関係というものは、一度話しかけるようになってから会話をする時間が長くなるうちに自然と出来上がっていくのが普通だろう。でもサイトは、クラスメートでもなければ、まだ親しい仲とは言えない間の相手とここまで来れたことに違和感があったのだ。
『あいつが必要なこと以外を口に出さず、その時の危機を打開することだけを考えている。極力無駄を避けるよう善処した結果、うまく続けたんだろうな。
仕事仲間に近い関係だな。今の俺たちとあいつは』
「…なんか、それって寂しくないか?」
『…かもな』
サイトの言葉に、ゼロは頷いた。かのウルトラ兄弟たちも、『兄弟』という単語を使っているが、実際にはただの役職名や二つ名のようなもので、血の繋がりを持っているのはごく一部だ。しかしそれでも彼らは、一般の兄弟以上の固い絆で結ばれている、戦力・精神面共に宇宙で生粋の結束力を持っている。故に彼らはあらゆる敵にも負けない、伝説のヒーローとして讃えられてきた。同時に、互いを家族として心から信頼し合ってもいるが、今のサイトとシュウの間に、まだそこまでの強い絆は、まだ見えなかった。
「……ふ」
シュウがサイトの元からたった今城へ向かっている姿を、木陰から見ている者がいた。再三復活したノスフェルがフログロスと共に、二人のウルトラマンと戦った光景を、謎の女と共に観察していた、あの黒ローブの屈強な巨漢だった。城の方角へと消えていくシュウを見届けると、彼はそれを待っていたのか、木陰から立ち去って行った。
ウェールズが生きている。だが、人ならざる者…人ではない異形の存在となった。
ボーウッドからの報告書にはそう記されていた。
なぜだ?レコンキスタが、自分たちの敵であるウェールズを生かしておくはずがないのに、彼が生きている!?それにもう一月になるのは…『人ならざる者となった』というボーウッドの報告だった。一体どういう意味なのだ?
いや…もしかして…とアンリエッタは悪い予感を抱く。まだボーウッドは捕虜としてトリステインに留まっているはずだ。もう夜遅くだが、急いでボーウッドのもとに向かい、この言葉の意味と真相を確かめなくては。
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