追憶-レミニセンス-part2/忍び寄る影
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たのだ。顔には、十字の赤いクリスタルがあったのが見えた。そして奴が水面の景色の中でサイトに向けて手を突き出した途端、さっきの光刃が飛んできた。あれは水の中というより、『水面に映った世界』から攻撃してきたように見えた。もし鏡に映っていた方角からの攻撃から、光刃は頭上からサイトに襲ってくるはず。
ついに星人が直接手を下しに…!?しかし今の奴はいったい何者なんだ?これまで地球を侵略しに来た異星人のどの特徴にも合わなかった。まして水面の景色の世界…いや、『鏡の世界』から光刃を飛ばしてくるなんて。
デルフを鞘から引き抜き、警戒するサイト。次は、いったいどこから来る?すると、今度は水路とは反対側に位置する建物の窓ガラスに、奴の姿が映った。瞬時にまた、さっきと同じ光刃が飛んできた。サイトはデルフを振り下ろしてその攻撃を弾き飛ばした。危なかった…。しかし、攻撃がトリッキーすぎてどこから飛んでくるのかわからない。
「こうなったら鏡を…」
奴が鏡とか水面とか、とにかく『映るもの』から攻撃を仕掛けてくるのはわかった。なら鏡を破壊すればと思ったが、デルフが差し止めてきた。
「よしな相棒!鏡をぶっ壊したって意味はねえ。寧ろ、映る物を増やしちまう。そうなっちまったら余計に不利になっちまうぞ。それに今鏡とかガラスを割るような音出してみろ。この時間は街の巡回兵が回っている。連中に見つかったら街中で暴れている不審人物扱いされて捕まっちまうぞ」
「じ、じゃあどうしたらいいんだ!」
サイトが半ばやけになってデルフに怒鳴る。敵が鏡の中、そしてこっちから手を下すこともろくにできない。まるで、地球にいた頃に読んだ漫画に登場した、鏡の世界から相手の寝首を刈ってくる『吊るされた男』のようだ。さしずめ今のサイトは、『銀の戦車』の男。あまりの手詰まり感に冷静さを失ってしまっていた。
すると、サイトが頭に血を登らせている隙をついて、再び窓ガラスから光刃が飛んできた。
「しまっ…!うわああああ!!!」
サイトは背中を逸らし、かろうじて光刃をよけたのだが、姿勢を逸らし過ぎてバランスを崩し、背後に流れる水路に落ちてしまった。堀の底は3メートル。頭から落ちる高さとしては十分すぎた。
窓ガラスに映っていた異形の存在は、サイトを始末したと判断したのか、鏡の世界の中で踵を返して去ろうとする。
…が、直後にそいつは足を止めた。…いや、何か強力な力に引っ張られる間隔を覚え、体が動かなくなっていた。もしやと思って振り返ると、そこにはずぶぬれになったサイトが口にデルフの刀身の峰を歯で加えながら、水路から這い上がってきた。
「ンの野郎…!!」
『ヴ…!!!?』
かろうじて堀のふちに捕まっていたサイトは、右手より特殊な力『ウルトラ念力』を使って鏡の世界に潜む異形の者をとらえることに成功したのだ。異形の存在を
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