妖精亭-フェアリーズハウス- part6/ゼロVS蠍怪獣
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反撃させまいと力強く押さえつけていて、なんとか脱しようと試みるゼロは腕や足に力を入れるが振りほどくことができない。
こちらの四肢を押さえつけている以上、アンタレスもまた四肢を使うことはできないが、奴の残された自慢の武器である、たいていの蠍も持っている毒性入りの尾があるのだ。
「このままだとゼロが…!」
「ルイズさん!魔法を!」
ルイズたちはゼロのピンチに焦りはじめる。ハルナがルイズに魔法を使うように進言する。言われずともやってやる。この世界とは無関係のはずの巨人が戦ってくれているのだ。この街…いや、この国の人間である自分たちだって戦わなくてはならない。今のうちにもう一度呪文を唱えなくては…。
しかし、ルイズは唱えようとしたところで突如体の虚脱感を覚え、膝をついた。
「ど、どうしたんですか!?」
シエスタがルイズを、地面に倒れる前に受け止めた。
「力が…入らない」
ルイズはこの意味に気付いていた。魔法を使うために必要な精神力が切れていたのだ。デルフが言っていた通り、虚無は溜めた精神力を一気に放出するため、迂闊に連発しようとすればすぐに精神力切れを起こしてしまうのだ。
「肝心な時に役に立たないわね…!」
せっかく手にした…それも伝説の系統とはいえ使い勝手の悪さに毒をつくルイズ。
チュレンヌはみんながアンタレスとゼロの戦いに気を取られている間に、卑怯にも罪を免れるために逃げ出そうとしていた。
「あ!!」
それに気づいたジェシカたちだが、もう遅い。自身にフライの魔法をかけ、空を飛んで逃げ出そうとするチュレンヌ。空に浮かんでしまえば自分を捕まえる者などいない。
「ま、待ちなさいチュレンヌ!罪を犯した上に尻尾巻いて逃げるなんて、卑怯よ!」
ジェシカが怒りの声を上げるが、チュレンヌは見苦しく言い訳をかましてきた。
「う、うるさい!こうなったのも全部貴様ら平民が悪いのだ!貴様らは黙って大人しく我々に奉公しておればよかったのだ!おかげでこの国に私の居場所がなくなったわ!こうなれば…レコンキスタに身をやつしてでも生き残ってくれるわ!」
なんて自分勝手な奴だろう。これは貴族というより、我儘な貴族の坊ちゃんがそのまま大人になってしまった悪い例だ。貴族は平民たちにとって模範でなければならないというのに、ルイズは同じ貴族としてこの男の存在を許し難く思った。
「あんたみたいな面汚しがいるから貴族の権威が!王国の権威が地に落ちるのよ!降りてきなさい!」
「ふん、そこで這いつくばるしかできん小娘が吼え面をかいておれ!ではさら…ぐぼあ!!?」
バァン!!
ルイズたちを見下しながら、チュレンヌはフライの魔法でそのまま空に飛び去ろうとしたのだが、直後チュレンヌは悲鳴を上げて店の屋根に落下し、そのまま滑り落ちながら市街地の石畳の上に落ちた。
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