妖精亭-フェアリーズハウス- part5/嵐を呼ぶ徴税官
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姫の女官ということは、自分がこの店で…いやそれ以前に自分がこの区域でやったこと全てを報告されてしまう恐れがあった。当然そうなれば貴族としての権力を剥奪されてしまう。見逃してもらうために金を払ってさっさと出て行くべきか。でもせっかくの金を下賤な平民のために払いたくなかった。なんとかしなくては…。
…いや、自分は何を恐れている?チュレンヌはほくそ笑んだ。ちらっと倒れた自分の取り巻きたちの中で、一人どこか浮いているようにも見える少年兵を見る。最近自分の部下になったものだ。こいつのおかげで自分は好き放題にできた。なぜなら…こいつには他の誰にももっていない能力があるのだ。
うつ伏せに倒れているふりをした少年兵の眼が、ギラリと開かれる。すると、彼の背中から、何かが伸び始め、テーブルの下に隠れながら、ルイズの足へと延びていく。
「いいこと、ここで見たこと聞いたことはすべて忘れなさい」
チュレンヌに今回のことは忘れてさっさと帰るように言うルイズはそれに気付かない。
「ゆ、許してください!命だけは!」
わざと焦っているふりをしたチュレンヌはルイズたちの油断を誘う。この少年を部下にひキレたことで、何者も逆らうことがなかった。平民の女だって取り放題。たとえここ最近噂が立っていても、自分には誰もはむかえない力がある。たとえそれが自分より身分の高い出の者だとしても同じだ。この少年に自分に逆らってきたものを始末させればそれでいいのだから。この生意気な小娘を始末したら、今度はこの店の女を脅し、全員自分の屋敷に連れ帰った暁にこの店を取り潰してやる。
「ふん、少しは物わかりのいい奴だったようね。じゃあ、今から私の質問に応えなさい」
チュレンヌに質問を吹っかけてきたルイズ。こいつは少なくとも貴族間の上下関係における立場を弁えていると思っている。おそらく、最近この街で起きている事件について容疑がかかっていながら金や権力で周囲を黙らせているチュレンヌに直接問いただすつもりなのだ。
「そうですね…ならば手始めに…」
だがこのとき、すでにルイズの足首に、少年の背中から伸びた謎の尾が、彼女を食らおうとその牙を向けていた!
「貴様を毒殺してからにしてくれるわ!!!」
「!!?」
少年の尾が、ついにルイズの足に襲いかかってきた。勝ち誇るような笑みを浮かべるチュレンヌに対し、ルイズは何かの尾が自分を襲おうとしていることに気が付くが時すでに遅し、足元に目をやったときにはすでに、自分を取り逃がすまいと巻きついている謎の尾が自分に突き刺さろうとしていた。
「ルイズ!危ねえ!!」
サイトは、とっさに懐から折りたたまれていたウルトラゼロアイを取り出した。それを重機と同じように握ると、彼の左手のガンダールヴのルーンが青く光り輝く。右手の人差し指を押すと、ウルトラゼロアイから緑色の閃光が走り、
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