妖精亭-フェアリーズハウス- part5/嵐を呼ぶ徴税官
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見える。
「あいつは?」
不思議に思ってジェシカに尋ねてみると、対する彼女も不思議そうな反応を示した。
「チュレンヌの新しい護衛よ。ごく最近だけど、あの子が現れてからチュレンヌの横暴がさらに酷くなったの。けど変ね。なんであんな年下にしか見えない子を護衛に連れてるのかしら?」
ジェシカにもよくわからなかったらしい。一体あいつは何者なのだろうか。けど…サイトにはなんとなくわかる。あいつは、何か怪しい気を振りまいているように見えた。
一方で、スカロンはなるべくチュレンヌの機嫌を損ねないように対応していた。
「チュレンヌ様…あいにく今日は満席でして」
「私にはそうは見えんが?」
自分が招か寝ざる客であることも気づかず、…いや、気づいていたとしても知ったことではないようで、チュレンヌは指を鳴らしてみせると、彼の傍らの貴族たちがレイピア型の杖を引き抜く。それに恐れた客と妖精さんたちは席から立ち上がり、店から消えていった。
一気に伽藍となった店をみて、チュレンヌは護衛たちも周りに座らせ腹を揺らしながら馬鹿笑いを浮かべた。
「誰があんたなんかに酌してやるもんですか」
チュレンヌにできればはっきりと言いたいが、逆らったらこの店の未来がない。だから聞こえないところでこうして呟くように言うしかできない現実に、ジェシカの手が握られている。ものすごく不愉快な様子だ。
「ね、ねえジェシカさん…あれって…」
しかし、ここで空気を読まずにチュレンヌに酒を運んできた者がいた。
「ルイズ(さん)/ミス・ヴァリエール!?」
サイト・ハルナ・シエスタ・ジェシカの四人は目を丸くした。
そう、ルイズだ。絶対にジェシカ以上に稼いでやる。そのことに集中していて、周囲の空気を全く読まなかったのだ。
「お、お客様は素敵ですわね」
テーブルに酒瓶を置くルイズ。さっきの通り愛想をふるまう。
「なんだ?この店は小僧を女に仕立てて働かせているのか!?私にそんな趣味はないぞ!」
すると、チュレンヌはなんともまあ女の子に対して失礼な物言いをかました。
「最低…!女の子を男扱いだなんて」
「ああ、かなりまずいですよ…ミス・ヴァリエールのこめかみが…」
小僧…つまり男の子扱い。女とみなされてもいなかった。これには特にハルナが憤慨していた。確かに、今の発言はただでさえ沸点の低いルイズが我慢できるはずもない。今は店側の人間として立っているからかろうじて堪えているが、今すぐにでも起爆しそうな爆弾にしか見えなくもない。
そんなことに気付きもせず、チュレンヌは下品な笑みを浮かべてルイズに手を伸ばし始めた。
「ふん、よく見たら胸が小さいだけの小娘か。どれ、その大きさをこのチュレンヌ様が確かめて…」
しかし、チュレンヌは最後まで言葉をつづれなかった。ついにキレたルイズがチュレンヌの顔を蹴
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