妖精亭-フェアリーズハウス- part5/嵐を呼ぶ徴税官
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子たちの管理者であることを明かしたこと、そしてそのあたりの話についてあることを思い出した。
「ど、どうかした?」
ルイズに踏まれり、シエスタにお盆をぶつけられたり、ハルナによって突き刺さったフォークを抜き取りながらサイトはジェシカに尋ねる。
「あんたたち気づいてない?うちの店の子、一人だけ最近店に来なくなってるのよ。ジャンヌっていう、いつもならチップレースで二位に上り詰めてる子よ」
「え?」
サイトとハルナはまだこの店に雇われてから日が浅いので、気づくのが遅かった。確か店の女の子たちはルイズとハルナ、ジェシカも含め全員で12人ほど。けど、前述の三人を含めても今日は11人、一人だけいない。
「やっぱり噂って本当ってことになるのかな。最近、チュレンヌが平民の女の子を漁っているって噂、少しは聞いてるでしょ?」
ジェシカからの問いにサイトは頷く。
「そのチュレンヌってのはどんな奴なんだ?」
すると、ジェシカは忌々しげに説明した。
「この辺の徴税官で、時々うちの店にも顔を出してあたしたちにたかるの。最低な奴よ、チップ一枚払いやしないんだから!かといって、あいつの機嫌損ねたらとんでもない税金かけられて店をつぶされるから、みんな言うことを聞くしかなくなっちゃうの。
しかも最近、あいつのせいで女の子たちが次々と行方をくらますって話をよく聞くの。実際その通りみたいだけど、あいつはずっとつかまらないままなのよ」
「どうしてですか?」
すでにそのチュレンヌというやつが犯罪を犯していることがわかりきっているなら、軍に通報するとかできるはず。サイトたちは首をかしげる。
「あいつはこのあたりの徴税官ってのは言ったわよね。溜めこんだ金で、このあたりの警備を務めてる連中を抱き込んでるのよ。だから通報しても『そんなことはない』の一言で返されて、ろくに捜査を進めやしないの。かといって現行犯で捕まえることもできない。あいつの周りには腕の立つ警備兵もいるし、あいつ自身も結構優れたメイジだから。それに…」
地球でもこういった手口の事件があった。自分の罪を誤魔化すために、周囲を金で釣って味方につける。汚い人間のやり口だ。
すると、店の羽扉が開かれた。先頭に太っちょにのっぺりとした顔の中年貴族とその警備と思われるメイジの軍人も混じっている。
「あいつよ。あいつがチュレンヌ」
サイトはチュレンヌを見て、ああ…となんとなくジェシカの言い分に納得を示す。見るからに小悪党な感じの貴族だ。しかも、さっきまで盛り上がっていた店の中は静まり返ってしまった。妖精さんたちも、客もチュレンヌの登場に見るからに怯えている。
ふと、サイトはチュレンヌの護衛の中に、警備たちと同じ服装を着た少年を見た。背が頭一つ分だけ低く、他の連中と比べると一見まともそうな風貌のせいもあって浮いているようにも
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