妖精亭-フェアリーズハウス- part3/生きていた魔人
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一方その頃、シュウは王立アカデミーを訪れた。やってきたばかりの頃は立ち入り禁止だ、だの平民ごときが入れると思うな、などと言われたが、アンリエッタからの許可証を見せた途端彼らは失礼した!とすぐに通してくれた。
アカデミー内部は、研究員が貴族なだけあって内部構造は立派な作りとなっていた。さま「ざまな研究員たちが近くを通り過ぎたり研究中また話し合っていたりを繰り返していた。中には、見ない顔である上貴族ではないシュウをめずらしいものや厄介者みたいな目で見ていたものもいたが、シュウは無視して近くの研究員に、王軍に回収されたジャンバードの保管場所を聞いた。
「失礼、タルブ戦役でトリステイン軍が回収したゴーレムの保管場所を教えていただきたい」
「平民がどうしてここにいるの?気安く私に話しかけないでくれないかしら?」
振り向いたのは、ルイズと同じ長いウェーブの髪型の金髪の、眼鏡をかけた女性だった。外見的に20代後半のようで、その鋭い目がきつい印象を抱かせ、彼女の美貌にひかれた男さえも寄せ付けようとしない。が、シュウは特に深い興味を抱かなかった。尊敬できる上司ならまだしも、この女性からはルイズと似たものを感じ、あまりかかわりたいタイプの人間とは思えなかった。
「気を悪くされたのなら申し訳ありません。ですが、私は姫殿下の命令で例のゴーレムを調べに来たのです」
「アンリエッタ姫殿下が?信じられないわね、どこの馬の骨かは知らないけど…証拠はあるのかしら?」
女性から証拠を見せろと言われ、シュウは女性にアンリエッタからの許可証を見せつける。それを見たときの女性は信じられないとばかりに目を見開いた。偽物じゃないのか?そう思って目を凝らすものの、その
すぐにイラついたような口調でぶつぶつぼやきだす。
「陛下は何を考えてらっしゃるの…平民を重用するなど、かえって保守的な貴族の怒りをあおって国を混乱させてしまうだけじゃない」
彼女はここ最近、この国がおかしな方向に傾いている気がしていた。それもこれも、ウルトラマンやら怪獣やらが出現してからだ。そのせいで、エレオノールがこうあるべきと考えるトリステイン王国の形が崩れていくことに危機感があった。それは自分たち貴族の権威が地に落ちること、それゆえに始祖の代から保ってきたこの大陸の秩序が崩れ去ることだ。だから最近シュヴァリエの称号を得て貴族となった平民出身のアニエスや彼女の率いる銃士隊を疎ましく思っていた。平民を貴族にするなど、金で貴族を名乗るあの野蛮なゲルマニアの真似事のようにも思えて気に入らないとも考えていた。
急な変革が返って混乱を起こすことを、あのアンリエッタ姫はわかっているのであろうかと疑念していた。
「すいませんが、私の質問にお答えください」
思わず目の前の平民を無視し愚痴をこぼした彼女は、シュウの呼びかけで我に
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