妖精亭-フェアリーズハウス- part3/生きていた魔人
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今その系統の話は…!!」
恐れをなして逃げ出しておきながら、適当に違う話をしていたと誤魔化そうと図った一人の研究員だが、もう一人別の男がその話題を聞いて青ざめた。
「へえ……恋人ねえ。さぞ、幸せの絶頂なのでしょうねえ…私と違って…………ねええええええええええええええええ!!!!!!?」
エレオノールは、実は以前のルイズ同様バーガンディ伯爵という男性とは婚約していたそうだ。だが、説明したとおりルイズ以上の高慢かつ過剰に気性の荒い性格が災いし、婚約破棄されてしまったのである。そのことをほんのちょっとでも話題に挙げると、ルイズの何倍もの怒りを放って今のようになってしまうのだ。
「「「ひ、ひいいいいいいいい!!!」」」
周囲の研究員たちは関わろうとしたら自分たちも巻き込まれると感じて知らないふりをしたり、傍観者に回っている。オワタ…自分たちの人生オワタ。三人の研究員たちはエレオノールが杖を振り上げた瞬間、自分たちの未来がここで閉ざされることを覚悟した。
…が、それはあまりにも意外な形でなかったことになるのだった。
「エレオノール・ド・ラ・ヴァリエール女史。八つ当たりの方でお忙しいなら、他の方に案内を頼みます。では私はこれで…」
シュウが、エレオノールが彼らに対して話をし始めたのを見かね、彼女とは違う人間に案内を頼むことにしたので、一言彼女に声をかけて立ち去ろうとしたのだ。それを聞いて、エレオノールは怒りの炎を鎮火させ、立ち去っていくシュウの肩を掴んだ。
「お、お待ちなさい!!せっかくヴァリエール公爵家の長女である私が案内してあげようというのに、私を放り出すなんて無礼も甚だしいのではなくて!?」
どうもシュウが、トリステインでも頂点に最も近い家計にある自分を差し置いて別の人間に案内を頼んでもらうことが気に入らなかったようだ。実にどうでもいい理由だった…。
「ご無礼を承知の上で申しますが、そう思うのならいちいち下らない噂話に過敏に反応しないでいただきたい。案内してくださるのでしょう?ならば自分から途中で放りださないでください」
平民のくせに正論を…。一体この私を誰だと思っているの!できることなら、この男をすぐにでも首輪をつけ、鞭でぶっ叩いて許しを請う姿を見届けてやりたいと思ったが、相手が正論を言っている状況でやり返したら自分の器の低さをさらすことになる。エレオノールとて決して横柄な貴族のように愚か者ではない。寧ろ公爵家にて立派な淑女となるために育てられた身。今の自分の行動がまさに彼の言うとおり八つ当たりでしかないことは重々承知していた。身分の低い男に言いように言いのめされた屈辱を堪え、エレオノールはシュウをジャンバードの元へと案内することにしたのだった。
「た、助かった…」
三人ははっきり言ってガチで死ぬと覚悟を決めていたので、すっかり腰を抜
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