妖精亭-フェアリーズハウス- part3/生きていた魔人
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たが、平民であるはずのあの男が姫直筆の許可証を持っていることや、あの例のゴーレムの内部構造を、自分たちでは解明することさえままならなかったにもかかわらずたった一部だけでも理解していた。余計に胡散臭い存在に思えてならなかったエレオノールは正体を暴いてやろうと考えていた。ジャンバードの保管されている広場はアカデミーと繋がっている。必然的にアカデミーの舎内に来る。そこから、ちょいと誰かに頼んであの男をつけさせることにした。…いくら自分がやったらヴァリエール公爵家の令嬢らしくないからって、他人を巻き込んで追跡をさせることもよくないのだが…。エレオノールに頼まれた数名の研究員が無理やりシュウの追跡役を任された…というか、逆らったら痛い目を見る程度では済まされないことを恐れたためただただ頷くしかなかったのだが。しかし、誰かに追跡されていたことはシュウにはとっくに感づかれていたのか、街中であっさりと彼を見失い、エレオノールはまた平民に一本取られた屈辱を味わって機嫌を悪くした。ただ誤解はしないでほしい、ルイズ同様彼女も公爵家出身なだけあって国への忠誠心と公爵家としての誇り高さが人一倍なだけなのである。
(撒いたか…)
チクトンネ街の真っ暗な路地裏にて、前述通り追われていることに気付いたシュウは、エレオノールに着けさせられた尾行から逃れ、ふう…とため息を漏らした。変な奴に目をつけられたものだ、と彼は頭を抱える。物陰から覗くと、去っていく彼らは…
「あ〜もう!あの人が怖いのに仕方なく変な頼みごとを任されたってのに、またエレオノール嬢に怒られるよ!」
「勘弁してほしいよな〜あの人真面目で悪い人じゃないんだけど、結構理不尽なんだよな。キレるとめちゃくちゃ怖いし」
帰ってきたら彼らはエレオノールに「いったい何をしてきたの!?」とガミガミ怒られるのだろう。一番の被害者は間違いなく彼らだ。
が、彼らがエレオノールに何されるかなんて実にどうでもよかったし考えてもいなかったシュウは、とっととサイトのもとに行くことにした。どこにいるのかはわからないわけじゃない。目を閉じて、その瞼の先に移る景色でどこにいるのかを感知してみる。彼は、ウルトラマンの光を持つもの=適能者特有の超能力を応用して彼の位置を特定しようとしているのだ。
が、それを邪魔するかのごとく、彼の足もとに一発の爆弾が落ちてきた。
それを一瞬早く感づいたシュウは後ろに緊急回避、彼の立っていた場所の石畳の地面は暴発した。この路地裏は道幅が狭いから横からの攻撃はない。それに爆弾が落ちてきたのは、上の方。シュウは頭上を見上げると、すぐ自分に右隣の建物の屋根の上に見覚えのある人間の姿があった。
「ファウスト…やはり生きていたのか…!」
黒衣のマントに身を包んだ、闇の巨人ダークファウストの人間体でもあるあの少女だった。こう
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