妖精亭-フェアリーズハウス- part3/生きていた魔人
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うような店に誰が来たがるものか。スカロンが直ちに駆けつけ、ルイズに新しいワインを取りに行かせるとその間に詫びのサービスを与えたというが、寧ろルイズに殴られた方がマシだと思える目に合ってしまったそうだ。何があったかって?それは聞かない方がいいだろう…。
が、予想外だったのかハルナだった。
つるっ。
「きゃあああああああ!!!」
ガシャアアアン!!
「あっちゃー、せっかくのお酒が…すみません6番待ちの方!少々お待ちくださいませ!」
「うぅ…ごめんなさい」
「おい姉ちゃん!頼んでたやつと違うじゃねえか!」
「ご、ごめんなさい!すぐにお取替えいたします!!」
何とハルナは一度や二度だけでなく、幾度もビンを落として割ってしまったり、注文の品を間違えてしまったりというミスを連発してしまっていたのだ。掃除は学校生活で腐るほどやってきたので問題はなかったのだが、せっかくサイトの世話になっているのに、役に立てない自分が悔しくなっていた。出会った当初の服ではなく、店の女の子たちと同様の妖精さん衣装のジェシカがうまくフォローを入れてくれていたが、このままではいけない。張り切って次こそはと思っても、また同じ失敗をしてしまう。ハルナは優等生のように見えて、実際はかなりの不器用さんでもあった。意外な彼女の一面にサイトは驚いてしまったものである。
(…ジェシカ、すまん)
心の中で、一言ジェシカに謝罪した。まさかこんなに彼女に生活力がなかったとは。何でもできる優等生タイプかと思っていたのに、ここまで手際が悪いのか普通!?
「あうう…平賀君、そんな目で見ないで〜…」
サイトから哀れみの視線で見られたハルナは悲しげに呟いた。
「ちょっと前途多難かしら…」
ルイズといいハルナといい、先は大変になりそうだ…とジェシカは頭を悩ませた。
「痛っ!」
すると、ハルナが小さな悲鳴を漏らした。どうしたんだろうと思ってサイトが彼女に目を向けると、割ってしまったビンを片付けていた彼女の右手の人差し指に小さな切り傷ができて、血が流れ落ちていた。
「大丈夫か!?」
「ん…平気。ちょっと切っちゃっただけだから…」
サイトとジェシカから気を遣われたハルナは、口に傷を負った指をくわえて血を舐めとった。
「少し休んだらどう?部屋に薬と布を用意しておくから」
「す、すみません…」
客の注文を間違えたり、せっかくの酒瓶を割ってしまったり。怪我もしてしまったので、一度見学する側に回ってみては?という提案で、ハルナはいったん、サイトたちのために用意された部屋に上がって行った。
大丈夫だろうか…落ち込んでいなければいいのだが。サイトは階段を駆け上がっていくハルナを心配そうな目で見送った。
その頃…王立アカデミーの敷地内。
ジャンバードは巨大ゆえにとても屋内で
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