妖精亭-フェアリーズハウス- part3/生きていた魔人
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返る。表情一つ変えない彼の態度が妙に癪に障るが、そのイラつきを何とか押し殺す。顔に出てしまっているので、本当に抑え込みきれているか疑問だが。それにしてもこの男、いったい何者だ?見たところこの男は貴族じゃない。なのに許可証があるからって、この神聖な王立魔法研究所に足を踏み入れるなど…。見極める必要があるか。この平民がはたして本当にアンリエッタ姫が認めた男なのかどうか。
「…いいでしょう。感謝なさい。このエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールが直々に、例のゴーレムの場所へ案内して差し上げましょう」
シュウは、ああ…と内心で納得した。やけに雰囲気が似ていると思ったら、あのちび女の姉だったのか。迂闊に関わったらいらない癇癪を起されそうで、あまりお近づきになりたくない。まあ、あのロボットの元へ案内してくれるなら誰でもよかった。
「よろしくお願いします」
興味なさそうに、ただ頭を下げて案内を頼んだ。エレオノールはこの平民にムカッと来た。彼女は身分や格式に厳しく、さらにルイズの高慢さを肥大化させたように気性が激しい。下級貴族以下の身分の人間からこのような態度を取られるとすぐにでも踏みつけてやりたい気持ちに駆られる。自分でも気づかないうちに眉間にしわが寄ってしまっていた。
すると、ひそひそと周囲から声が聞こえてくる。
「あの平民、なんだ?あのミス・ヴァリエールを相手に澄ました顔でいるぞ?」
「いや、もしかしたら内心ビビッて足がすくんでいるんだろ。エレオノール嬢は気性が激しいうえに魔法の技術も優れていてお強いからな。ほんのちょっとでも機嫌を損ねたら何されるか…」
「けど、あれが素だったらあの平民はすごい度胸の持ち主ですね。最近のエレオノール様は、噂によるとバーガンディ伯爵との婚約を破棄されてご機嫌がななめだというのに…」
「そこのあなたたち!!!!」
その噂話が10メイル以上も、噂の発生源の研究員たちから離れていたのに、まるで耳元で聞かれたかのようにすべて聞こえていたエレオノールは過剰に反応し、その噂を立てた研究員たちの元へ超特急で駆け寄る。
「や、やばい!逃げろ!」
逃げ出そうとする研究員たちだが、エレオノールが瞬時に杖を振り、彼女の意思に応えて床から土で構成された腕が生えて研究員たちをとらえ、彼らは床の上に転んだ。背後に怒りの炎を燃え上がらせながら、床の上に転んでしまった研究員たち三人を見下ろす。
「さて…あなたたち」
「「は、はい!!」」
果たして鬼か悪魔か、少なくとも今の彼らにとってエレオノールは何よりも恐ろしい怪獣そのものだったことだろう。
「今、いったい誰のどんな噂を口に出していたのかしら?」
「え、えっと…そ、そう!!最近第二実験室研究員の友人が最近恋人が出来たとか…」
「ば、ばか!!
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