妖精亭-フェアリーズハウス- part2/地球人3人
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いやつ…と心の中でごちるが口に出さなかった。
「でも、街に入り込んで悪徳貴族の様子を見るってことになると、しばらくこの町に留まることになりますね」
アンリエッタからの依頼の内容を思い出し、ハルナが言った。
「だとしたら、まずは平民に見える格好に着替えないといけないわ」
ルイズの着ている学生服は、マントと五芒星のセットがある。それは貴族の証であるため、着ていたままでは貴族であることは丸わかりになってしまう。今回アンリエッタからの依頼は、街で横暴を働く悪徳貴族の調査。平民として振る舞った方が、彼らの様子を正確に探ることができる。よってルイズは自分用の平民服を買うことにした。手持ちは400エキュー。デルフの購入額の4倍程度の金だ。国力低下傾向にある影響のためか、国庫も厳しく、アンリエッタから与えられたのは最低限の金だけだった。本人としては少しでも多く与えてルイズたちの力になってあげたかったのだろうが、これが限界だったのだろう。
「少ないわね…」
公爵家で育った金持ち気質ゆえか、ルイズにとってはかなり少ない額だったようだ。
「遠足でのおやつは300円までってよくいうけどな…」
逆にあげすぎたら使い込んでしまうというのが姫の見解でもあったのか、サイトはむしろルイズにとって少ない額でちょうどよかった気がする。ハルナはいまいちエキューやドニエの単位の大きさがよくわからずルイズに尋ねる。
「400エキューって、安いの?」
「安すぎるわよ!」
「いや、デルフがあの時サビサビだったとはいえ、剣一本で結構な額じゃないか?」
「それは平民にとっての話でしょ。私たち貴族からすれば小遣いの数分の一にも満たないわ」
「はあ…」
さすが貴族のお嬢様、とハルナは思った。
それから一先ずルイズが平民に返送するための服を買いに服屋へ寄った。そこでルイズは黒のベレー帽と黒のワンピースを買ったのだが…。
「地味ね」
確かに派手な服ではないが、自分で買っといて文句を垂れた。
「平民に変装した方がいいって、お前自身が納得したうえで買ったんだろ?」
「一応私が選んであげたのに…」
サイトとハルナの一言を無視し、ルイズは歩き出すと、二人も後について行った。たどり着いた先は、街の馬屋だった。
「400エキュー!?せっかくのお金がなくなっちゃうわ」
「馬ぁ?」
サイトははぁ?と言わずにはいられないほど呆れた。こいつ姫様から栄誉ある任務を任されたとかない胸を張って威張っていたくせに、こともあろうか馬を求めた。馬で街をうろつくなんて、すでに平民らしからぬことの範囲、任務の路線から外れたも同然だ。
「小遣い全額分の高い馬なんかいらないだろ。いるにしても安い馬で十分だし、それに馬具やエサ台だってかかっちまうだろ」
それに道だって広くないから邪魔になってしまうではないか。
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