春奈-クラスメート-part3/一先ずの和解?
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その頃、王立アカデミーは、先ほど語った通り怪獣の死骸の解剖や、レキシントン号の構造チェックなどが執り行われていた。とはいえ、ハルケギニアでは未知なる存在も同然の生物と、未知なる技術で改造された船。たやすく解析できるものではない。
レキシントン号は強力な宇宙金属で強化されていたこともあり、船体のパーツを切除するなどの取り出し作業が進まない。正直、レコンキスタのような卑劣な手段を使うこともいとわない奴らの武器を使うことに抵抗が強かったのだが、他星を侵略する宇宙文明どころか地球にも劣る文明のため圧倒的に力不足のハルケギニアにとって皮肉なことだが、使いようによっては、強力な防衛兵器ともなりうるのだから、これらの解析・研究は是非とも進めなくてはならないのだ。
「ぐ…くっさ…しかも汚!!」
「文句言ってないで作業を続けろ!」
怪獣の死骸の周りで作業をしている研究員たちは酷く苦労させられた。
まるでガリバー旅行記に登場したガリバーが旅先で出会った小人たちにされたように、怪獣たちの死骸はロープや鎖で、地面に縫い付けられていた。やはり死骸ということもあって臭いは強烈だった。だから、死骸については王都から遠く離れた場所へ運ばれた。怪獣たちの中で原形をとどめていた形の死骸を運ぶのは骨を折らされ、大掛かりな作業だった。シルバーブルーメやケルビムは粉々に砕かれていたため輸送に苦労はなかったのだが。
その後も大変だった。死体を腐らせないように、なおかつ臭いが周囲にふりまかれないように気を遣わなくてはならないし、死骸から何かしらの有害なものが発せられることも懸念され、原形をとどめている死骸の周辺の研究員は防護服の着用も余儀なくされたほどだ。
研究員の大半が貴族出身のため清潔感にこだわりを持つものも少なくなく、作業中は文句のオンパレードだ。とはいえ生物学的にも興味をひかれるものもきっとあっただろう。ドラゴンよりもはるかに強力な力を持つ怪獣、その秘密を探りたいと考える者も多数いたようで、作業は積極的に進められた。
しかし、彼らは作業を進める中、彼らの調べている怪獣に対する、無知ゆえの油断を起こしていた。王立アカデミーのある研究室の机の上のガラスケースの中に保管されていた、ある怪獣の死骸の肉片がうねうねと動き出した。そして、突然ケース内で発生した小さなブラックホールのようなものの中に吸い込まれてしまった。
「!お、おい!!」
それに気づいた研究員の一人が、仲間たちを呼んでケースを指さした。
「怪獣の肉片が…消えた…!?」
「ンなバカな…あのケースはトライアングルメイジが作ったものなんだぞ!」
消えた怪獣の肉片は、その黒いブラックホールのようなものによって、トリスタニアの小汚い路地裏に運ばれていた。そこにはたくさんのドブネズミたちが運びっていて見る者を…特に大半が心
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