春奈-クラスメート-part3/一先ずの和解?
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充候補者二名を爆発させてやりたい衝動に駆られた。
(こ、この犬ぅぅ…!!!)
しかし、敢えてこらえていたのは昨日のハルナとのやり取りがあったためだろうか。
「やれやれ…本当の戦いはこれからってとこかね」
デルフは身分どころか出身世界を超えた三角関係を見て、ため息を漏らしていた。
ちなみに、厨房の方でも今のルイズと同じようなことが起こっていた。厨房の空気が、この日はすさまじく重苦しくなっていたのだ。その原因は、台所にて果物を切っているシエスタにあった。ザクッ、ザクッ…っと果物を切っていくその様が、まるでもっと別の…『何か』の肉をさばいているようにも見えるくらい恐ろしかった。
「し、シエスタ…どうかしたのか?」
マルトー親父が、包丁を持ったまま暗黒色のオーラを放出し続けているシエスタに恐る恐る尋ねる。
「…いえ、気にしないでください料理長。ただ、訳が分からないんですけど…超激ムカな気分になっただけですから」
満面の笑みなのに、貴族どころか見ている人間すべてに超古代の邪神のような恐ろしさを味あわせる凄味が、このときのシエスタの笑顔にあった。その日、シエスタに仕事以外の件で言葉をかける者は誰もいなかったそうだ。
一方、ウエストウッド村…。
「お仕事?」
「ああ、俺も少し稼ごうと思ってな」
サイトとの通信回線確保のために、タルブの戦いでジャンバードを回収・管理したトリスタニアに向かうことになったシュウは、この日早速出かけてみることにした。玄関に差し掛かると、テファが見送りに来た。
彼女にすべてを話していない。ここからトリスタニアまでの距離は数日以上もかかる。一瞬のごとき速さで飛べる移動手段があることで、秘密がばれることを考慮し、近くの町で働くと偽っていた。これはマチルダも一枚かんでいて、シュウが村を離れている間はマチルダが村を守るために滞在する方針となった。その代り、しっかり働いて稼いで来いとマチルダに念を押された。彼女の稼ぎ手段である盗賊稼業を休むことになるし、守銭奴のようであるが村の生活が懸かっているだから当然のことだ。
「危ないお仕事じゃないよね?」
「そんなに危険な仕事じゃない。単純に言えば物作りだ」
「そ、そうなんだ…よかった」
それを聞いてテファはほっと胸をなでおろす。シュウが自分の見えないところで危険なことをしている。元は怪物と戦う仕事をしていた、とは言っていたがテファからすれば危険行為に自らの身を差し出していることに変わりなし。マチルダにも、子供たちにもやってほしくはないのだ。
が、シュウには理解されていなかったようだ。
「心配することもないだろう。何かしらの危険が来たところで」
「それが心配なの!もしあなたの身に万が一のことがあったら」
「そうなったら、俺は所詮その程度の男だったということだ」
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