春奈-クラスメート-part2/少女たちの溝
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自ら条約を結んできておきながらトリステインへ侵略行為を行い、それをトリステインが応戦したことで発生したタルブ村の戦いは、トリステイン側の勝利に終わった。
タルブ村の復興作業を手伝う部隊を村に駐在させると、アンリエッタは群を引き連れてトリスタニアに凱旋、国民たちからの賛辞を受けた。
ボーウッドをはじめとしたレコンキスタ軍からの投降者たちは、レコンキスタの知る限りの情報を明かすということで、命まではとらないことが決定された。
トリステインの勝利は、決してトリステイン自体の力ではないが、国力低下の目立つトリステインは、政治面で自国の強さをアピールし、他国と対等であり続けるようにしなければならない。だから不本意にも情報操作も行われ、一国の力のみであたかもトリステインはアルビオン…正確にはレコンキスタに勝利したということにした。ゲルマニアはその情報を聞き、同盟解消の件は白紙、トリステインは強固なる国として認められ、数日後のアンリエッタの正式な女王即位のための戴冠式と同時に、再度ゲルマニアとの同盟が成立することになった。
ゲルマニアとしては、アンリエッタがウェールズに宛てた手紙の件などをダシに、小さな隣国であるトリステインには強硬な態度を示したかったらしいのだが、レコンキスタや怪獣の脅威を恐れているという点では同じ。婚約も自分たち側から解消させていたために、結果として手紙の件も同盟とは無関係になった。
しかし、自由を手に入れた……とは言えなかった。女王となることで、むしろかえって、自分への立場上の束縛が彼女をさらに締め上げることになるのを、アンリエッタは自覚していた。そして…、自分にとって女王となったことを喜んでほしいと願う、愛しい人が自分の知らない世界へと消えていたという事実が、女王となってもそのことに虚しさを覚えさせた。
どんなに華やかに戴冠式を飾っても、決して彼女の心は晴れない。それでも、喪に服している母に代わって、自分はこの国の女王となる。泣き言なんてもう許されないのだ。
捕虜の尋問にあたった一衛士からの報告書を読み上げる。
タルブの戦いで回収された改造レキシントン号、ジャンバード、怪獣の死体など多数の件についてだ。
レキシントン号は、明らかにハルケギニアの技術で作られたものではなかった。今回戦利品としても獲得したのだが、大砲の代わりに搭載されたビーム砲、一つを王立アカデミーが分解して調べようとしていたようだが、ハルケギニアの金属よりも強力な合金製で作られていたため、分解にさえも手間取っていた。操縦を担当していたアルビオン兵によると、基本的な操縦方法は同じだったようだが、操舵室の構造もビーム砲の発射装置の搭載のために大きく変わっていたらしい。他にも強力な性能が備わっていたらしいが、理解できない箇所が多すぎたそうだ。いかに強力な兵器に改造しても、
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