春奈-クラスメート-part2/少女たちの溝
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だが、ハルナが彼に言ってきた。
「平賀君に聞かれると、ちょっと困るかな?だから、先にルイズさんの部屋に戻ってて。そんなに時間かける気はないから」
「あ、うん。じゃあ俺、先に戻ってる」
地球にいた頃、偶然女子の会話を耳にした時のことを思い出す。聞いていたことが知られると、同じ教室内だから聞きたくなくても聞こえてしまうのに、聞き耳立てるなだのキモイだのと一方的に罵倒してきたものだ。聞かれたくないなら聞こえないとこで話せよ、ブスのくせに生意気な!なんて小学生じみた言いかえしをしたくなったものだ。まあ、冷静に考えると、聞いていた自分も悪いのだが。
内容はわからないが、ハルナもきっとサイトには聞かれたくないことをルイズに話すつもりなのだろう。先に戻ることにした。
サイトが校舎の方に姿を消したのを契機に、ルイズが問いだす。
「話って何よ?」
「平賀君のことで、お話があります」
まっすぐルイズを見据えながら、ハルナはルイズに言った。なぜだろう、彼女の視線がやけに鋭くて、氷のように冷たかった。次にハルナがルイズに言ってきた言葉は、互いにとって相反する意味で重要性を持っていた。
「平賀君を、返してください」
「へ?」
いきなり、サイトを返せと言われたルイズは戸惑いを見せる。
「言葉通りです。平賀君を地球に返してください」
ルイズは、なるほど、と心の中で呟く。盗み聞きなんて貴族のすることじゃないなんて言言うくせに、結局好奇心に勝てないルイズは、さっきのサイトとハルナの会話もちょこっとだけ聞いていた。彼女はずっとサイトのことを待ち続けていたのだ。こうしてまた異世界出会うことができただけでも奇跡だ。でも、そんな奇跡よりも彼女が望んでいたのは、この世界に来る前までの何一つ欠けていない平凡な日常。その中でもサイトの存在は絶対に欠けたくはなかったのだ。
「そんなの、できたら最初のうちにやってるわよ…」
あの時の自分に、召喚を取り消して元の場所に送り返すことができたら、間違いなくサイトをとっとと地球に送り返していたに違いない。いや、もしほかのメイジでもそれができたら、今頃学院はドラゴンなど、ハイレベルな使い魔ばかりを手元に置いていたはず。
一応、学院長室で使い魔召喚の儀式とそれに伴う魔法の説明はされているが、召喚した使い魔を送り返す魔法も手段も存在さえしていないことに、ハルナは納得しかねる様子だった。
「勝手すぎますよ…私や平賀君のお母さんから、平賀君を奪ったくせに…」
ハルナは俯くと、ルイズの心に次々と突き刺さっていく言葉を投げつけていった。
「あなたは他人の大事なものを奪い取った。あなたに分かりますか?私達の気持ちが…大切な人を奪われた気持ちが…ルイズさんは、それをわかっているんですか!?」
「…!」
「GUYSまで動き出すほどの大問題にもなっ
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