春奈-クラスメート-part2/少女たちの溝
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ら来てくれるんだって思ってもやっぱりいなくて…平賀君のお母さんに聞いても、わからないって…本当に不安で…ひょっとしたら、あの時死んじゃったんじゃないかって、考えたくもなかったのに……」
気が付くと、彼女は身を震わせ泣いていた。サイトは、彼女を急に取り残してしまったことに罪悪感を覚える。地球にいる母さんや同級生たちもこんなふうに、自分のことを心配していたのだろうか。そう思うと、どうしても地球に帰りたくなってしまう。
でも、サイトは思う。今の自分は、ウルトラマンゼロでもある。宇宙の平和のために、この世界に潜む宇宙の悪を倒さなくてはならない。レオからも指摘・説教され、こうしてこの大地にいる。
「高凪さん、大丈夫だって。俺はここにいるから」
抱きしめまではせず、彼女の頭に手を乗せてそっと撫で上げた。しばらくハルナは泣き続けていた。サイトが失踪してから抱え続けた不安と、彼が生きていたことへの歓喜が一気に破裂し、涙を抑えきれなくなっていた。
「ご、ごめんなさい…みっともないところ見せちゃったな」
真っ赤になった眼をこすりながら、照れくさそうにハルナは笑った。
「いいんだよ。女の子が泣いちゃったら受け止めるのが男ってもんだと思う」
今俺いいこと言ったぜ!と内心で得意げになる
「じゃあそろそろもどろっか、高凪さん」
「平賀君」
歩き出したサイトを、ハルナが呼び止めた。
「私のことは…ハルナでいいよ?」
「え?い、いいの?」
「うん」
「あ、ああ…ハルナね」
少し照れくさげに、下の名前で呼んでほしいと言ってきたハルナに、サイトはまた胸が一瞬高鳴る。
「あ〜ら…随分と仲良しじゃないの…?」
突如聞こえてきたドスの利いた声に思わずびくっとなる。今の声はハルナのものじゃない。振り返ると、そこには頭にきてお冠状態のルイズがサイトとハルナの後ろで、両手に腰を当てていかにも不機嫌そうに立っていた。
「る、ルイズ!?」
「まだ戻ってこないから探しに来てみれば…ご主人様に内緒であ、あああ逢引だなんていい度胸じゃない…?」
「逢引!?」
単に偶然、この場に居合わせただけじゃないか。相変わらず思い込みが激しいというかなんというか…。
「ここにハルナがいたから、話してただけじゃないか!」
「ふ〜ん、何を話してたっていうのかしらね?私の知らない間に、ハルナを名前で呼んであげたみたいだしねえ…」
今にも爆発しそうな形相で睨んでくるルイズ。シエスタといい、ルイズといい、なんでこんなに不機嫌なのかサイトには理解できない。
「あ、そうだルイズさん。せっかくだから女の子同士で話しませんか?」
すると、サイトに助け舟を出すかのように、ハルナがルイズに話を持ちかけてきた。
「話?」
「ええ」
一体何をルイズに話そうと考えているのだろうか?気になったサイト
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